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<last resort>
【二次創作 恋愛小説】

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-1

「もう逢えない」
そう告げた僕に、きみは、
「そっか・・・」
と、ぎこちない仕草で微笑んだ。

夕暮れの公園。二人よく手をつないで歩いた。たくさんの恋人たちが、じゃれあいながら歩いたり、木陰に座って語り合ったりしている。いつもは彼らのうちの一組だったけど、今日は違う。恋人たちを避けて、僕ら二人はサヨナラに歩いていく。


違う誰かに、ずっと閉じた想いを注いでいた。それは秘密の感情だった。
きみは
「それでいいから」
と言った。そんなきみと始まって。

言えない想いを抱いていた僕は、単純に嬉しかった。きみが僕を好きでいてくれたことが。
だから、きみのぬくもりに甘えていた。
これ以上はそばにいられない。きみを大切に想っているのは本当だから。細いその指先、離すよ・・・


暫くの沈黙を破って、きみがうつむいたまま言った。
「最初から解ってたから、気にする事ないよ」
そしてすぐに顔を上げて、明るい声で、
「ラッキーだった」
なんて、場違いなセリフではしゃいでみせるから、愛しくなる。


ずっと思ってた。好きになれればいいのにって・・・
だけど、純粋に、消し去れない想いがひとつ。
どうしてもきみを“いちばん”にできなくて・・・

綺麗な言葉ばかり欲しがって、きみをひたすら傷つけていく。
「僕のこと、好き?」
そう訊くときみは必ず、
「ううん。愛してる」
そう言って微笑み、キスをしたね。
そんなきみがあんまりかわいいから、僕はきみを抱きしめる。そうするときみは本当に幸せそうに微笑みながら、僕の胸に頬を寄せて。
だけど、抱き合っていてもどこかつながらなくて。そうして壊れていく絆もあるんだ。
きみは僕になにも求めはしなかったのに、僕は・・・


もうすぐ途切れる道の手前で、立ち止まる僕に気づいたきみは振り返り、どうしたのと小さく首をかしげた。
僕は涙をこらえながら、やっと声を出す。
「・・・ゴメン」
こんな一言だけの終わりしかないなんて・・・

きみは僕の事をたくさんたくさん愛してくれるから、失くすのを悔やみかけてしまう。
だから、だからね、
「あなただけ悪くは、ないよ」
そんな風にやさしく、赦すように言わないで・・・!


本当にきみの事が大切で、今まで過ごしてきた時間も本物で。
だけどその想いも、この道が終わるまでには振り切らなきゃいけない。
切なくなって、今ならまだ間に合う気がしてる。


だけど、それじゃいけない。
きみの事が大切だから
きみの事が大好きだから


一人のきみに、還すよ───




FromT.M.Revolution"lastresort"in6thalbum"progress"


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