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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!VD-6

「うるさいなっ!悪かったね!女子で25,5あって」
「2つ違いの弟より足がデカイなんて…」
「だから昨日も言ったでしょ!修は父さん似なの!ウチは母さんも25,0あるんだから」

 佳代は怒って直也達から背を向けると、受け取った靴を確かめた。

(…なんだコレ…薄っぺらで…)

 その靴は布製で、薄い靴底にはギザギザの生ゴムが貼ってあるだけだった。
 すべてが行き渡り、早速ランニングとなった。

(…なんだ?足が安定しない)

 走り始めてすぐに部員達は、その効果に気づいた。
 薄い靴底は衝撃を吸収せずに足裏に掛かる。その上、わずかな凹凸の変化を足から腰による筋肉でバランスを取るため、体幹の強い身体になっていく。
 今時のスパイクでは絶対に叶わないトレーニングを、靴を変える事で実現させる一哉のアイデアだった。

「次はこっちに来い!」

 ランニング後のストレッチを終え、普段ならキャッチボールなのだが、永井は1年生以外の部員を金網フェンス前に集めた。

「今日から、キャッチボール前にコイツでトレーニングをやれ」

 金網には、10本以上におよぶ帯状のゴムが結ばれていた。

「今からデモンストレーションを行う。直也!ちょっと来い」

 直也が前に出ると、金網の近くに連れて行かれてゴムをセットされた。胸部を弓なりに開き、両方のヒジを肩の高さまで上げて、そのヒジに1本づつゴムが固定されている。
 永井は、ゴムの張り具合などチェックして頷いた。

「じゃあ直也。ヒジを斜め前に20センチほど動いて」

 ゴムはかなりの張力なのだろう。両ヒジを斜め前に突き出す直也の動きはゆっくりだ。

「そこから元の位置に」

 言われたままに力を抜いたのだろう。ヒジは一気に後へ引張られた。

「その動きを100回。それが終わると次は下半身だ」

 皆が永井や葛城の細かな指導を受けながら、ヒジや股関節のトレーニング方法を学んだ。

 これも一哉のアイデアだった。
 今やメジャー・リーガーやプロ野球の一流プレイヤーも行っている方法で、プレイの動きの中で発生する最大筋力を末端まで効率良く伝達させるトレーニング方法だ。

「…56…57…肩が…」

 佳代は初めての体験に、いつもと違う筋肉が使われているのか、言われた回数がこなせない。
 ようやく3種類のトレーニングを終えると、ランニングの影響も加わって肩や脚がだるく感じていた。

「終わった順にキャッチボールを始めろ!1年は素振りだ」

 達也の号令に合わせて2、3年生はグランドに散っていく。逆に1年生達はグランドの隅に寄って素振りを始めた。


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