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fantasy ability
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reality ability‐第8話‐刻印・【真】‐-1

‐集神城、皇希自室‐

皇希はベッドに倒れていた。天井を見つめている。何を考えているのかは不明だった。暫く時が経つと扉を叩く音が部屋に響く。

〈コン‥コン‥〉

「‥私よ。皇、‥入っていい?」

織音が言った。まだ歯切れの悪い口調だ。

「‥ああ。」

皇希はベッドに座るように体勢を整えた。真剣な表情で扉を見る。織音が入ってくる。

「‥‥‥」

無言。元気を感じられない表情。やはり情緒不安定なままの織音。

「‥‥。来てくれてありがとう。‥‥織音。」

皇希が礼を言った。表情からは優しさを感じられないが声からは感じられた。

「‥‥‥。私は皇と一緒に居たい‥‥。」

織音はため息を吐くように言った。切なる想いが言葉に出た。

「‥‥‥」

皇希は織音をじっと見る。織音は顔を赤くする。恋人のようで恋人じゃない二人‥‥。

「‥‥織音。ちょっと身体に触れていいか?」

皇希が不意的に発言した。織音は一瞬、顔を更に赤くしたが、何かを気が付いたように喋り出す。

「‥‥零歌さんをどうするつもり?」

織音がいつもの通りに聞いた。しかし、皇希は睨み付けた。

「自分の名前に“さん”を付けるのか?‥‥零歌?」

織音‥零歌は驚く。そして、皇希の威圧感に圧倒されたようで扉に背中をつけてしまった。徐々に皇希が近づく。逃げ道はない。
左右に逃げたところで皇希は即座に動くだろう。かといって、扉を開けようとすると皇希に背中をとられてしまう。
皇希は右腕を正面に突き出した。手のひらを上にし、小さな魔法陣を作り出す。織音の身体がビクッと微かに動いた。
すると、織音の身体の全体から色あるモノが皇希の魔法陣に吸い込まれていく。‥‥‥。零歌の表情は苦しそうに見える。
“魂”を吸い込んでいるようだ。皇希はまだ睨み付けている。‥‥‥。やはり悪者にしか思えない皇希の行動。
数十秒後、魔法陣は一つの箱形のようなモノになっていく。小さく軽いようだ。皇希は軽々しく持っているからだ。
織音の身体は扉に寄り掛かるようになる。そして、当然のように織音の身体は左側に倒れそうになる。やはり皇希が左腕で支える。
数十秒、時が流れていく。織音は目を開ける。一瞬、視線を合わせたが直後に逸らした。皇希は全てを見透した瞳で織音を見ていた。
皇希は手のひらのモノを説明し始める。織音の考えを読み取ったように喋り出す。


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