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the back of K.
【二次創作 恋愛小説】

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the back of K.-1

今年もまた、冬が来た…。
私は夜を彩るように降る雪を見つめ、再び貴方を思い出す。

ふっ、と庭を見る。
木工材の屑で作られた小さな十字架、唯一それを輝かせる、"K"と形取ったシルバーネックレス。
あそこに眠るのは、貴方の可愛いお友達。
貴方の最期を知るたった独りのお友達が、眠っている。

threeyearsago―
「どうしても行くの?」
彼と繋いだ手をぎゅっと、握り直し、私は静かに言った。
彼は私の目を見て、ニコリと微笑む。
「…どうして、東京なの?ココが田舎だから?ココでもチャンスはあるんじゃないの?」
私は堪え切れず涙声で彼に訴え続けた。
引き止めるのが無理なのは分かってる―。
貴方は自分の夢を追い掛けている人だから。
「元気で。」
彼が絡ませた指をゆっくりと解く。
―ダメ、それを解いたら…貴方は行ってしまう。

二人の手と手は"これから"を物語るかのように、そっと離れた。
貴方はゆっくりと私に背を向けて、私から少しずつ離れていく。

明日にはもう、貴方はいない。どんなに会いたくても、声を聞きたくても、貴方はいない。お金のない貴方は携帯も持っていなくて、何の繋ぐ手立てもないお別れ。

まるで、小学校の頃仲の良かった友達が転校してしまったときのよう。手紙を書くね、って離れた友達は、月日が経つ毎に、絆が薄れてゆく。
どちらともなく、「自然」に―。

「圭っ!!」
私は思わず、貴方の名前を呼んだ。
ゆっくり振り向く貴方、その顔はいつもの「またね」と同じ顔。
「手紙書くよ。」

本当はそんなことだけじゃ不満で、行かないでって云いたくて…。
でもそれは言っても仕方のないことだと解っているから、私はただ泣いた―。
貴方の背中を滲み見ながら…。

貴方がいってしまってから二度目の冬が来た。
不定期に届く貴方の絵手紙には、いつも貴方のお友達がいた。真っ黒で、エメラルドの眼光が鋭く光る、『黒猫』。
貴方の描く黒猫はとても寂しげで、本当貴方にそっくり。
私は、この黒猫ちゃんがとても羨ましかった。キャンバスの向こう側、私の特等席だった場所にいつもいられる。

けれど、最近はもう、その手紙すら届かない。
―どうしたの?私のコト忘れてしまったの?
貴方からの手紙が届かなくなって、もう半年は経ってしまった。
私が何度手紙を送っても、返ってはこない返事―。
私の不安は今宵の闇夜と同じ、私の流せない涙はこの夜に滴る粉雪と同じ。


この夜と雪が、ただ貴方に届いて欲しい。

私はただ祈っていた―。

会えなくてもいい、そんな贅沢は言わないから…、せめて声だけ、それがダメなら筆跡だけでも、私に下さい。

彼の夢を邪魔したくない。
でも、彼を邪魔しないことと、彼に逢いたい私の願いは相容れないものなのですか?決して、一緒には叶わないものなのですか?―教えてください、神様。


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