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僕とあたしの夏の事件慕?
【幼馴染 官能小説】

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僕とあたしの夏の事件慕? 第七話 「差し込む光」-9

「……はい哲夫様……」

 あたしは愛美さんに処女を奪われようとしている。しかも黒い張りぼてで。
 初めては好きな人が良かった……そんな乙女チックナコトを考えながら、来るべく痛みに備え、目を固く閉じる。
 前髪が掻き分けられ、おでこに唇が触れる。このまま唇も奪われるのかな……でも相手が愛美さんじゃ、噛み付くわけにもいかない。

 しかし、予想に反し、唇は耳たぶへと寄り道する。

「……澪さん、そのまま聞いてください……」

 耳元でクチャクチャと音を立てながら言うので聞き間違いかと思った。けど、それはきわめて冷静な声。

「チュゥ、チュッチュ……澪さん……固くならず……」

 首筋を這う愛美さんからは鼻腔をくすぐる甘い香りがする。もちろん、今はそんなことよりも、言葉の真意が気になる。

「……この地下室、一部が別荘と繋がっております……」

「……ウソ!」

 でも、地下室がある時点で普通じゃないし、隠し通路があっても驚けないかも?

「静かに……今、澪さんがいる場所の真後ろが、その通路となっております。望みは薄いですが、声が届けばあるいは……」

 この人を信じていいの? だけど、今は信じるしかない。

「イヤー! 愛美さん、やめてぇ! あたし、まだ処女なんだから! 初めては大切にしたいの! お願いやめてぇ!」

 かなりわざとらしいけど、哲夫も狸も気付いていないみたい。

「澪さん、申し訳ありません……」

 さらに舌を這わせてくる愛美さん……別にそこまでしなくていいと思うけど。

「おいおい、愛美、もう少し優しくしてやれよ……大切な処女なんだからなぁ!」

 あんた達こそいい気になっていられるのも今のうちよ! すぐに真琴達が助け来るんだから!

◆――葉月真琴――◆

 二階を探していた僕は、かすかだが澪の声が聞こえた気がした。

「……澪?」

「どうした、真琴君。なにかわかったか?」

「今、澪の声が聞こえたような……」

「澪ちゃんの声、何処から聞こえてきたの?」

「あっちの部屋から……です」

 僕が指差す方向には楓さんの部屋。

「楓、アンタまさか……」

「俺がそんなことするか……いや、そうか! あそこからならもしかして……二人ともついて来い!」

 楓さんは壊す勢いでドアを開けると、隅っこにある背の高いクローゼットからハンガーやワイシャツを投げ捨て、壁板を抜き取る。

 すると、その奥に空洞が現れた。

 なるほど、何故この部屋まで狭かったのかようやく謎が解けた。
 階段を隠していたからなんだ!


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