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ストーカー
【サイコ その他小説】

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ストーカー-2




五月三十一日。ジューンブライド+美咲の誕生日に合わせて設定した挙式まで後二週間足らずだ。美咲は相変わらずテンションの上がりきった状態で、もう待てない、と言った感じだ。しかし、秀次はそうではなかった。と言うより、そう言うテンションではいられなくなってしまった。
その理由というのは、一枚の手紙が原因であった。その手紙は今日の朝に届き、そこにはこう書かれていた。
「もう少しで結婚を迎える、親愛なる櫻井秀次様へ。
私のことを憶えてる?あえて名前をここに書きはしないわ。でも、この手紙を読んで思い出してくれたら嬉しいな。
私がこの手紙を送ったのはね、理由があるの。簡単よ。それはね、貴方に結婚しないで欲しいの。ね、簡単でしょ?
それだけよ。言いたかったことはそれだけ。じゃあ、また。」
最後の“また”、と言う言葉が少々気になった。確かに、それよりも不思議な点がいくつもあるのだが、今は冷静に考えることにしよう。
この手紙の主が一体だれなのか。それがまず一番に気になることである。しかし、どう考えても秀次の頭の中に答えが浮かび上がることはなかった。それどころか、謎はどんどん深まっていき次の日も同じ手紙が送られてきた。
まったくなんなんだ、との思いで嫌々ながらに封を切り、中から白い一枚の紙をとりだした。
「親愛なる櫻井秀次様へ。
少しは考えてくれたかな?結婚を諦めてくれれば今後貴方の身に災いが降りかかることは無いのよ。もう別れてしまいなさいよ。早くしないと、どうなるか分からないわよ。」
この手紙を読んでもまだ分からない。主は一体誰なのか。
次の瞬間ハッとした。何を一体真剣に考え込んでいるのか、と。俺らしくない。こんないたずらにいつまでも付き合ってられるか。そう思った秀次は、手紙をびりびりと破り捨てた。
台所からスープのいい臭いが漂ってきた。その臭いに誘われて、秀次はそろりそろりと台所へ近づいていった。
秀次の目の前には、秀次よりわずかに十センチほど背が低い艶やかな美咲の姿があった。鍋をかき混ぜ、一度味見をしてから頷いた。後ろからゆっくりと近づき、驚かすように肩に手をやった。
『うぁ!』
いままで聞いたことのない声が聞こえて少し嬉しくなった秀次は、ご飯にしよう、と一言呟いた。
軽く頷いた美咲はつくっていたスープを皿に移し、秀次にテーブルまで運んでくれるように頼んだ。そして、コトコト煮込んだカレーを熱々のご飯がのった皿に移し、少し後に美咲もテーブルについた。
二人で手を合わせ、頂きます、と唱えてからスプーンを手に取った。
食事を済ませた後、秀次は手紙のことを思い出し、本当にあれで良かったのか、と不安になってきていた。しかし、あのままただのいたずらに流されて、みすみす結婚を諦めるなんて事があってたまるか。
そう自分に言い聞かせた秀次は、いつもより早めに布団に潜った。


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