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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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伊藤美弥の悩み 〜初恋〜-17

「瀬里奈、どうするんだろう……?」
 美弥の言葉に、龍之介は尋ねる。
「気になる?」
「うっ……ん」
 美弥は、素直に頷いた。
「高遠君も、瀬里奈も……幸せに、なって欲しい」
 そう言ってから、くすりと笑う。
「まるっきり、偽善者みたいな台詞だね」
「……否定はしません」
 悪戯っぽく龍之介が言うと、美弥は拗ねたように頬を膨らませた。
 だがすぐに、破顔する。
「ごもっとも!」
 くっくっと笑い声を立てた美弥は、背後から抱き着いている龍之介に体を預けた。
「ま、うまくいってるのなら電話かけたりするのは野暮よね」
「まあね」
 龍之介は、ぎゅっと美弥を抱き締める。
 まるで今離したら、二人の元へ駆け出すのではないかと心配しているように。
「……後悔、してない?」
 囁かれた美弥は、目をぱちくりさせた。
「何を?」
「その……紘平を、選ばなくてよかったのかって」
「何で?」
「僕より、紘平の方が……美弥にはふさわしいんじゃないかって、思ってる」
 それを聞いた美弥は、大きなため息をつく。
「ほんとにまあ……!」
 そして、凜とした声で龍之介を戒めた。
「よく聞いてね。私は、龍之介が自分にとって最高の男性だと思ってる」
 龍之介はぎょっとして、美弥を見る。
 腕の中に収まった美弥は、真っ赤な顔をしていた。
「そこまで想える人と付き合っているのに、今更初恋の相手をそそのかせって言うつもり?」
 龍之介はようやく、自分がとんでもない事を口走ったのに気付く。
「……ごめん」
 きつく美弥を抱き締めて謝罪すると、美弥は微笑んだ。
「僕にとっても、美弥は最高の女性だ……だから、何かあるとヤキモチ焼くし拗ねるし理性がプッツンするし。」
 美弥はくすくす笑う。
「いつもは我慢強いのに、私絡みの事はキレやすいもんね」
「ごめんなさいね」
「いいよ。もう慣れた」
 ふと考え込んだ美弥は、龍之介に尋ねた。
「ね。高遠君の事、どうするの?」
「どうって?」
 龍之介は、不思議そうな声を出す。
「いや、だから……」
 美弥は思わず、言葉を濁した。
 少女の言わんとする所を察し、龍之介は答える。
「別にどうもしないよ」
「そうなの?」
 美弥は素直に驚いた。
「怒りに任せてやるべき事はやったし、処断は笹沢さんに一任したし、僕がする事はもうない」
 紘平を殴った事など全く気に病んでいない龍之介の態度に、美弥は苦笑を禁じ得ない。
 敵対者に容赦のない龍之介の性癖を考えれば、それもまあ当然と言える。
「まあ、笹沢さんは紘平と別れるつもりはないようだし、うまくいく事を……できれば笹沢さんが紘平の手綱をしっかり握る事を、願うしかないね」


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