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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!VC-13

 しかし、直也は、兄の本当の姿を面あたりにしてもがき苦しむ道を選んだ。
 進むべき道を自分で決めた事が、メンタル面にプラス要素をもたらしたようだ。

 ピッチャーにとって1番重要な球。外角低めへの強い真っ直ぐ。その出来で、ピッチングすべてが分かると言っても過言でない。

 一哉は、直也の1球を見て“今日はイケる”と確信していた。

 5回を3者3三振で決め、ベンチに戻る直也に達也が声を掛ける。

「よかったぞ、ナオヤ」
「あ、ああ…」

 素晴らしい滑り出しをした直也だが、これまでの手痛い実績から、まだ半信半疑の様子だ。
 しかし、達也の方は今までとの違いを肌で感じていた。

「自己流のメニューで何か変えたのか?」
「…特には変えてないよ。走り込みと遠投を増やして…後は、投げる歩幅を5センチくらい狭めたかな」
「何故、歩幅を変えたんだ?」
「以前から違和感があったんだ。左足が引っ掛かるような…歩幅を狭くしたら、それが無くなったんだ」
「それで、より角度がついたのか」
「エッ…?」

 納得顔で答えた達也の言う意味が、直也にはよく分からなかった。

「歩幅を狭くして重心が高くなって、腕も今までより高い位置で振れてたから、ボールに角度がついたって事さ」

 遠投と工夫が功を奏し、より高いレベルへと導かれたようだ。

「次もこの調子で頼むぜ!」

 達也の嬉しそうな顔に、直也は新しい練習メニューに手応えを感じ始めた。

「分かった。精一杯投げるよ」
「当たり前だ。今までの分、やってやれ」

 達也なりの激励の言葉。

 果たして、直也は周りの期待と不安を一身に受けながら6回も三者凡退に終わらせた。
 打者6人に対して三振5、セカンドゴロ1という完璧なピッチングをして、最終回を中里に譲った。

 そして試合終了。

 青葉中は、昨年県大会ベスト8の東邦中を下した。ひと月前、東海中との試合から立ち直った直也に、ようやく初勝利がもたらされた。



…「やっぱすっきゃねん!V」C完…


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