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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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想いの輝く場所(後編)-6

卒業式。
壇上に上がる悠は凛々しく、素敵だった。制服姿を見るのもこれが最後になるんだな、と少し寂しく思う。


初めて会ったのは、痴漢から助けてくれた時だっけ。
あの時はまさか自分の勤めている学校の生徒だとは夢にも思わなかったなぁ。

一度は遠ざけようとしたけれど、悠の心に触れれば触れる程、それは難しいものになった。

絶対に秘密にしよう。
この恋を守る為ならば…。
秋に誓った決意。

そんな決意も、今日で一応幕を閉じる。

たった半年。
そう、たった半年なのにすごく長くて濃い時間だった気がする。

悠との時間だけではなくて、仕事の事も。ずっと就きたかった仕事だったんだもの、やりたい仕事が出来て、大切な人にも巡り会えて。

幸せだなぁ、ってしみじみ感じた。

悠。
私は、もう未来を期待してないなんて言わないよ。
だって未来は二人で作っていくものだから。
悠に迷いがないのなら。
――私も迷わない。



バタバタ――ッ
卒業式が終わってしばらくした後。
廊下を騒がしく走る音がした。

「何かしら…?」
ドアを開けて外を見るものの、そこに誰の姿もなく。
おかしいわね…と、首を傾げながら机に戻る。

ふいに、窓ガラスを叩く音がして外を見ると、そこに悠がいた。

『あ・け・て』
口パクしながら鍵を指差す。

「どうしたの」
身軽に窓から入り込んだ悠は、窓の鍵を閉め、次にそっと入り口の鍵を閉めて、ため息をつきながら長椅子に座り込んだ。

…心なしか、着衣が乱れてる?

「少し匿って…」
すごく疲れている様子。

…あぁ、ネクタイか。
どこの学校でもあるように好きな人から卒業式に貰いたいものっていうのが、静涼高校では男子のネクタイに女子のリボンなわけなんだけど。

「モテる男は辛いわねぇ」
カーテンを閉めながら言うと。
「女って怖い…」
半泣きで悠がポツリと呟く。

きっと女子に揉まれて争奪戦になったんだろう。
着衣だけでなく、サラサラの髪の毛も乱れている。

そんな悠に思わず笑ってしまう。
悠の前に立って、乱れた髪の毛を撫でる。

悠は少し気持ち良さそうに瞳を閉じた後、ネクタイを外し私の前に差し出した。

「なに…?」
一瞬、意味がわからなくて問いかけると。
「あれ、わかんない?襲ってって事なんだけど」
と悠は茶目っ気タップリに言う。
「……」
呆れた顔で悠を見ていると、
「うそうそ。そんな怖い顔しないで。これ…奏子がもらってくれる?」

「――え?」
普通は交換するものと聞いたけど…。


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