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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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想いの輝く場所(後編)-10

「あ、美月先生」
一人の女子生徒が私に気づいた。

「えーと、青木さん」
例のサッカー部のマネージャーで悠のクラスメート。…ってだけじゃなかったけど。

「こっち座って下さい」
立ち上がってベンチに座るよう勧めてくれた。
「でも…部外者だし」
「大丈夫ですから」
手を引かれてベンチに座る。
悠は気の強いヤツ…って言ってたけれど。こういう気遣いの出来る子なんだわ。

その時彼女の視線が一瞬私の白衣に向けられて、
「先生…それ」
「え…?」
視線の先に目を向けると、ポケットからほんの少しだけ見えているモノ。

さっき悠から貰ったネクタイ――。

「…ああ、さっき落ちてるのを拾ったのよ。後で職員室に届けるわ」

「そうなんですか」
後ろめたさを感じながらついた嘘に青木さんは頷いて、スコアブックに視線を戻す。

試合は白熱していた。
でもただ白熱してるだけじゃない。何よりも心から楽しんでいるのがよくわかる。
悠も本当に楽しそう。
悠だけじゃなく、みんな輝いているように見えて、思わず目を細める。

そんな時だった。

センタリングで上がったボールにヘディングで合わせてシュートを決めた悠と。競っていた生徒がぶつかって、悠が体勢を崩したのは。
グラウンドの周りから悲鳴が起きる。

シュートは決まったものの、立ち上がらない悠の周りに人が集まる。

「大丈夫だから、行って行って」
人だかりの真ん中で悠が声をあげる。
足を挫いたように見えた。
大丈夫なのかしら…。

その後何もなかったかのように立ち上がって、接戦で悠側のチームが勝った。


軽く足を引きずって来た悠をスコアブックではたいて、
「バカじゃない!遊びの様な試合でケガするなんて」
キツい言葉を浴びせながら救急箱を持ち出した青木さんに悠がストップをかける。

「オレ、美月先生に手当てして欲しい」
「え、ああ、はい」
急に名前を呼ばれて慌ててしまった。

そーゆーことか、と言わんばかりに青木さんが大きくため息をついてもう一発悠をはたいて去っていった。

「った〜!」
頭をさする悠を見て思わず笑ってしまう。

周りで見ていた女子生徒たちがわらわらと集まって来て、悠に何やら色々渡してはキャイキャイ騒いでいる。

悠は嫌な顔せず快く応対している…と思いきや。
「足挫いたみたいだからごめんね」
と有無を言わせない笑顔で断りながらこちらに向かって歩いてくる。


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