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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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想いの輝く場所(後編)-1

ねぇ、あなたはいつまで私の側にいてくれるの?
想いを通わせれば通わせるほど。
体を重ねれば重ねるほど。
大きな幸せが私を包んで、それと同じくらい大きな不安が私の心を支配する。

いつか、私の側からいなくなってしまうのではないか。
…いつか、この温もりが離れて行ってしまうのではないか…、と。

大きな不安が胸に渦巻いて、ものすごく苦しくなる―――。



「生中もう一杯!!」
「ちょっと奏子先生、もうそろそろ止めた方が」
隣で古文担当の柳沢先生が止めに入る。

「なんか荒れてない?今日の美月先生…」
「…目が座ってるし…」
同僚の先生たちが心配げに話すのが聞こえる。

あの後、職員室に入った私は多分泣き出しそうな顔でもしてたんだろう。同僚の先生達が飲みに誘ってくれたんだけど…。

荒れたくもなるわよ。
目の前で、あんなことがあれば…。

あの子は…確か、青木さんといったはず。元サッカー部のマネージャーって以前に悠からきいたことがある。

でもあれはただの部員とマネージャーって関係じゃない。
元カノ…?
いや、元カノだとしても別に変じゃない。悠がそれなりに付き合ってたのは、保健室に遊びに来る女子生徒たちの噂話で聞いている。
悠は多くは語らないけど、女の人の扱い方とかやっぱり慣れてるし…。

頭の奥ではガンガンと警鐘が鳴り響く音。
…段々と痛みを伴って。

痛み…?

「あれ…頭、痛い…?」
ガンガン鳴り響いているのは警鐘ではなく、飲みすぎからくる頭痛。

「当たり前でしょ!美月先生飲みすぎ!普段はそんなに飲まないくせに。ほら帰るわよ、はい立った立った」

面倒見の良い体育担当の武藤先生に支えられるように立ち上がる。

「明日遅刻しないようにね」
あれよあれよという間にタクシーに乗せられていた。


窓の外を流れるネオンがやけに眩しく感じる。
目に光が突き刺さるみたい。

カバンから取り出した携帯には、誰からの着信は入っていない。
…もちろん、悠からも。
今夜行くって言ってたけど、どんな顔して会ったらいいかわからない。
それにもう日付も変わってるし、帰ってしまっているかもしれない。

……もしかしたら、来てすらいないかも。

熱っぽい瞼を少しの間閉じる。

ショックじゃない、と言えば嘘になる。
今でも胸が締め付けられるように苦しい。
わかってる。
悠からしたわけではないってことは。
傍目から見ても残酷な程、青木さんの肩を強く引き離していたもの。

でもそのシーンを目の当たりにして。
いつか…悠が私への気持ちがなくなって、違う人のもとへ行ってしまったら。
そんな想像が胸を締め付ける。

悠にはこれから明るい未来がある。
大学に行って、沢山の人と出会って。
そして私から離れて行ってしまうんじゃないかって。

それが、……怖い。

小さくため息をついてもう一度瞼を開けると、街のネオンが涙で滲んでいた。


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