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マラソン
【サイコ その他小説】

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マラソン-4




幼稚園の頃から一緒にいて、一緒にいないことはないくらいの仲良しだった。中学はそのまま入学した訳なのだが、付き合っているわけでもないのに、中学校でも一緒にいるのは流石におかしいので、真理の方から距離をおき始めていた。
しかし、仲良しだった関係だけは変わらず、そのまま一緒の高校へと入学した。それが今の高校だ。
高校に入ってからはクラスが違ったこともあり、接する機会が少なかった。
そんなある時、友達の圭司が言った。
『なぁ、オマエと近藤って付き合ってんの?』
近藤というのは真理の苗字で、俺以外はみんな近藤って呼んでた。
『何だよ、急に。』
『だから、答えろよ。オマエらは付き合ってんの?』
『何だってそんなことを聞くんだよ。』
恵斗は、ズバッと付き合っているとも言えず、かといって、付き合ってないと言って圭司にとられたくはなかった。
『オマエら結構仲良いじゃん。呼ぶときも下の名前だし。』
俺らの間では、そんなことは意識してないつもりだったが、周りは見ているところは見ているものだ。
『まぁ、そうだけどさ、何でだよ。』
鼓動が激しくなった。あいつは、真理ちゃんの事が好きなのか?聞きたいようで聞きたくはないことだった。
『俺、、、、近藤が好きなんだよ。告白しようと思ってる。でも、オマエらが付き合ってんなら止めとくつもりだよ。』
より一層鼓動が激しくなる。
『そう、、、かよ。』
今思えば、感情が表に出やすいタイプだ。
『で、どうなんだよ。』
とまどいを隠せず、汗が一気に噴き出てきた。
『俺と、、、、、真理は、、、、、、、、付き合って、、、、、、ねぇ、、、よ。』
ハッキリと言った。
『本当か!?付き合ってねぇんだな!?オマエは、近藤のこと、好きじゃねぇんだな!?』
圭司は嬉しそうに歓喜の表情で問いかけた。
『ああ。』
『じゃあ、思い残すことはねぇな。』
そう言って、圭司は立ち去った。
次の日の放課後、真理が俺を呼んだ。
『あのね、さっき、、、、圭司君に告白された。』
ドクンと大きく鳴った心臓は、止まることなく激しい運動を続けた。
『だから、、、、、何だよ。』
焦ったのを隠すようにして言ったつもりだった。が、相手に伝わってしまったかもしれない。
『どうしよう。』
真理は、困惑の表情で俺に言った。
『そんなこと、、、、、、俺に言うなよ!!』
つい、怒鳴ってしまった。
『だって、、、、、』
『俺とオマエは付き合ってない!!!それだけだ!!』
カッとなると、すぐに相手を“オマエ”呼ばわりにしてしまう。
しかし、気になる事は気になった。
『で、、、、、、なんて答えたんだよ。』
きわめて冷静に言った。
『もう少し、、、、考えさせてって。』
少しほっとした感情もあった。しかし、もうこうなったら引きようがなかった。
『付き合っちまえよ!前から好きだったじゃねぇかよ!』
『でも、恵ちゃん。』
そんな言葉聞きたくなかった。恵斗は無視するようにしてその場を去った。
一人の寂しい帰り道の中、恵斗は思い詰めていた。おそらく真理は、俺のことが好きだったに違いない。しかし、前に一度圭司が好きだと俺にうち明けたこともあった。だから、今も好きだという感情は残っているはずだ。
恵斗の正直ではない気持ちは残念な結果を招き、次の日から、圭司と真理は付き合い始めていた。
楽しそうだった。真理も圭司も。
圭司は真理を駅まで見送り、その後自分も他の電車に乗り帰っていった。
俺は当然真理と家が近かった。だから、帰りの電車も一緒だった訳なのだが、俺の方から距離をおいていた。そういうことも含めて、段々と2人の関係はギクシャクしてきていた。


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