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恋愛武勇伝
【純愛 恋愛小説】

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恋愛武勇伝 第三章 kazuko編-8

=後片付け=

あぁあ、今日は走りたくねぇよナ。
この暑いのに仕事とは、二親ともご苦労なこった。
もっともそのおかげで、飯が食えるんだけどね。

ところが、ところが、だ!
今夜は、俺ッチが用意しなきゃぁならないとわ。
妹のmoekoを当てにしてたら、
「残念でしたぁ、yukariの家にお泊りに出かけま〜す!」
って、夕んべ出かけちまいやがった。
自慢じゃないが、俺は料理なんかしたことがないんだ。

子どもを置いて、どこ行くっていうんだよ。
「お爺ちゃんが悪いの。
ひと晩だけでも、看病してあげなきゃ。」

仕方ない、コンビニで買うか。
帰りに、ちょっと寄り道するかな。
なんて、ステキな日なんでしょう。

「神様ぁ、ありがとう!」
kazukoがさ、晩ごはん作ってくれるって。
目玉焼きぐらいだよ、って言うけどょお。
何でもいいって、何でも。
腹がふくれれば、♪♪いいんですう♪♪

なんてのかなあ・・ビミョーに違うんだょな。
どこがってうまく言えないんだけど、違うんだなあ。
はっきし言って、お袋の目玉焼きの方が数倍美味い。
ひと味、なんかを付け加えてるんだろうさ。
“愛情という、出汁だよ。”なんて、言いそうだ。

あぁ、kazukoの目が潤んできたぞ。
ヤバイ!って。
「大丈夫、大丈夫だって!
十分に、美味いんだから。
お袋のは、味がさ濃いぃんだ。
な、kazukoのは、あっさり系なんだ。
でも、マジで美味いって。」
もう、なだめるのに苦労したょ。

料理歴二十数年のお袋に、叶うわけないジャン。
なに、対抗意識持ってんだよ。
そんなことに、女ってのはこだわるのかねえ。

飯を食い終わってから、後片付けをしたんだけど。
よく新婚家庭でさあ、旦那が手伝ったりなんかしてるジャン。
だっせえ!って思ってたけど、俺もそれをしてんのよ。
なんかさぁ、楽しいんだな。

kazukoの隣に立ってさ、kazukoが洗い終わった食器を、俺がかごの中へ並べるのよ。
これが嬉しいんだょな。
変な感じ、実際。

「臭〜い!
シャワー、浴びてょお!」
突然、kazukoが言い出すんだ。
びっくりしたあ。
汗をびっしょりかいてるから、汗臭いことは分かるけど。
だからって、そんな大声で言うなよな。

風呂場から出たら、ちょっと変な雰囲気が漂ってた。
俺もさ、正直のところ、急いで出はしたんだけど。
ぬる目のシャワーを浴びてる内に、この家に二人っきりだって気付いたわけよ。
俺が気付いたってことはだ、当然kazukoだって気付いてるわ。

俺としては、黙って帰られちゃ困るわけ。
ある意味せっかくのチャンスでもあるわけだし、と言って焦って帰られるのもイヤなわけだし。
どっちにしても、平静を装いながら風呂場を出たわけなんよ。
で、次の言葉が難しい。

「kazukoお?
シャワー、浴びてっかあ?」
俺的には、“浴びてくか?”って言ったつもりなんだけど。
どうもなぁ、
“浴びてっかあ?”って、言っちゃったみたい。


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