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私の存在証明
【純愛 恋愛小説】

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私の存在証明A-4

「女って、身につけるものが好きだと思うぞ」

 そう言って友人は人差し指を高らかに掲げた。意味もなく誇らしげに続ける。

「指輪とかネックレスとかどうだ?喜ぶと思うぞ」

「べ、別に女になんて言ってねーだろ」

「でも女にだろ?」

「うっ……まぁな」

「かなたんって顔の造りは良いのに、純情だよな。てかピュア少年?」

 友人の含み笑いに、こめかみがピクリと動く。

「今、俺は凄くお前殴りたいと思うがどう思う?」

「暴力はいけないと思いまーす。……かなたん、頑張れよ!」


 そう言ってガッツポーズをする友人。やはりまだいまいち理解出来ない気遣いだが、初めて感謝した。

――――

 指輪の値段は様々。
 知ってはいたが実際目にすると、眩暈がする程の値段もあった。
 別に高価な方がいいとは思わない。要は気持ちの込めようだ。
 けれどあいつの色白な細指に似合うものを、と色々見た結果。短期バイトをしなければいけない値段の代物になってしまった。



「不良少年発見」

 バイト帰りの夜道。すでに周囲は静寂が包み、川沿いに街灯の光だけがうっすらと浮かんでいた。
 そんな中、不意に掛けられたソプラノの声は、聞き覚えのあるものだった。

「俊博さんが嘆いてるよ。最近、奏太の帰りが遅いって」

 闇夜の中、姿を現したのは暗闇に負けない位に黒い格好をしたあいつ。

「そーいや、バイトって言うの忘れてたな」

「確かうちの学校、バイト禁止だったハズだけど」

「そうか?まぁ短期だったし、欲しいもの買えたからもう辞めた」

「ふーん」

「あんたこそ何やってんだこんな時間に」

 そう言って腕時計に視線を移す。文字盤の短針は日付の境目を越えていた。

「川見てた」

 そう言ってあいつは、ここら辺では大きな部類な入る川の方向を指差す。けれど雲で覆われた夜空の所為で、川のあるべき方向を見ても、見えるのはただの暗闇だけだ。

「見て楽しいか?」

「いーの、嫌いじゃないから」

 何が楽しいのかはわからないが、暗闇を見つめたまま時折鼻歌まで歌うあいつ。その様子に川を見る時は上機嫌なのだと悟る。


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