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「例え君が何者でも」
【コメディ 恋愛小説】

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「例え君が何者でも」-2

幽霊と向かい合い、お互い正座でいること30分。
段々足が痺れてきました…。

「っだぁーっ!」

「イヤーッ!来ないでぇ!!」

「行かねぇよ!行かねぇから正座辞めようぜ」

「は、はいぃ」

私はいそいそと膝を抱えて座り直しました。幽霊は胡座。膝に肘をつき、掌に顎を乗っけています。
こう普通にしていれば幽霊とは思えません。
少し長めの栗色の髪、紅くて薄い唇、鼻筋も通っていて、何よりも目がとても綺麗なんです。長い睫毛が頬に影を落とし、澄んだ漆黒の瞳に見とれてしまいそうでした。
でも、見とれずに何とか踏み止まっているのは、この者が幽霊であるから!

「で、姫代」

「ギャーッ!」

また名前呼んだぁ!!怖いぃ!!

「あ〜悪かった!じゃオレ自己紹介するよ。これでフェアだろ」

いや、はい、そうですね。とりあえず、どうぞ。

「オレは柏木 有介。気付いたらここにいました。さっきの出来事です。後は自分でも分かりません」

分かりませんって。そ、そんな…それじゃ…

「イ、イヤーッ!結局、謎のままじゃないですかー!自己紹介になってないじゃないですかー!幽霊は柏の木にいるって言うし、ユウスケのユウってどうせ幽霊の幽なんでしょ!?キャー怖い〜っ!!」

「あの、姫代さん?本当に怖がってるのか端から見る分じゃ分かんないんだよな。あと突っ込みどころ満載だから一応突っ込んどくけど柏の木じゃなく、柳の木な。オレ、どこぞの漫画の主人公じゃねぇし、人名にその漢字使う人なっかなかいねぇからな」

「あ、そっか!」

気が動転し過ぎてました。落ち着こう、ふぅ〜。
ふぅ〜、ふぅ〜…。グゥ…。

「っておーい!」

「っは!」

危ない危ない!落ち着き過ぎて眠りかけてました。なんたって今は夜中の3時。ボーッとするじゃないですか。
私は気を引き締め、何となく咳払いしてみました。

「オホンっ。あの!何なんですか、あなたは!!」

「どぅもー、幽霊でーす」

「ギャーッ!」

「ケケケ、面白ぇなぁ」

何か、何か、何か私、幽霊に遊ばれてる気がします。


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