投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Stealth
【アクション その他小説】

Stealthの最初へ Stealth 27 Stealth 29 Stealthの最後へ

StealthB-5

「…痛てて…美奈ですが…」
「痛いって、どうかしたのか?」

 受話器からは気遣う恭一の声。美奈は少し嬉しくなった。

「いえ…何でもないです」
「そうか、ところで、頼んでいた振り込みの件だが変更になった」
「どうなったんです?」
「明日の昼、おまえが居る詰所に男が訪ねて来る。そいつに直接渡してくれ」
「エエッ!私が」

 恭一の話に思わず声が上ずらせた美奈は、慌てて周りを伺うと小声で訊ねる。

「…詰所に誰が来るんです?」
「いいか?今田郁己という男だ。30代半ば。170センチほどで痩せ形、長髪にメガネを掛けて神経質そうな外見…」

 美奈は恭一の言葉を、電話口にあるメモ用紙に書き写す。

「分かりました。明日の昼ですね」
「頼んだよ…」

 恭一は電話を切った。美奈は受話器を戻すと、しばらく考えるように佇み、キッチンへと向かった。

 キッチンでは母親が洗い物をしていた。

「お母さん、ちょっと貰うわよ」

 美奈は冷蔵庫を開け、缶ビールを1本取るとテーブルに腰掛けてフタを開けた。

「あんたが飲むなんて珍しいわね?」

 ちょうど洗い物を終えた母親が、手をタオルで拭きながら美奈に訊いた。対する答えは意外なモノだった。

「…明日のためよ。リラックスするために…」

 答えに母親は“ふーん”と言うと、

「私も付き合おうかしら」

 冷蔵庫からビールを取り出し美奈の対面に座った。




「佐倉さん!鑑識からあがって来ました!」

 夜の遅い時刻。不夜城のように煌々と明かりの灯る捜査3課に、宮内が駆け込んで来た。その手には十数ページにおよぶ、鑑識の報告書が握られている。

「ご苦労だったな」

 佐倉は労いの言葉で宮内を迎えると、さっそく報告書に目を通した。


・侵入経路はビルの機材搬入扉から非常階段を通り、5階の専用エレベーターによる。

・侵入経路及び電算室に作業用靴跡有り。サイズはともに26.5センチ。それ以外には衣服の化学繊維を採取。
 それらは一般販売店(ホームセンターや作業服店等)で取扱われているモノで、購入履歴を特定するのは困難。

・容疑者が脱出の際に利用したベルトやロープリールについては、消防、陸自以外での使用は稀である。現在、購入履歴を調査中。


Stealthの最初へ Stealth 27 Stealth 29 Stealthの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前