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ポッキーとプリッツ
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ポッキーとプリッツ-2

「あーっ、クソッ」

頭をかきむしって両足をジタバタさせた。
めんどくせー女!
めんどくせー女!
めんどくせー女!


出会った頃は良かったよなぁ…
当然記念日なんてうっとおしいモノはなく、その日その日が新鮮でさ。


やたら細長い体型をした俺とつぐみは、最初はお互い近寄らなかった。
並ぶと、あのキモカワ芸人みたいになるから。

『ポッキーとプリッツみたい』

ある日友人にそう言われた。
頬にニキビの痕がある俺がプリッツで、腰まで伸びた艶のある黒髪がチョコみたいだからつぐみがポッキー。

それをそのまま伝えたら笑ってくれた。
それからは毎日話して笑って、メールばっかして、一番の仲良しになって…


そりゃ付き合えた事やキスとかした事は俺にとっても嬉しい出来事だったけど、それを祝ってどーすんだよ。
ただ、その日にそんな事がありましたってだけで、何一つめでたくないだろうが。


大通りより一本中に入った細い通り沿いの我が家は有り難過ぎるくらい静かな空間。
さっきから溜め息と時計の秒針の音だけが虚しく響く。

つぐみが飛び出してから、まだ10分しかたってないのか…

あいついないと静かでいーや。
昼寝でもしよ。
クッションを抱き抱えてベッドにゴロンと寝転がった。
が、

チッチッチッチッチッチ…

「だーっ、秒針うるせぇっ!」

クッションを時計に向かって投げて、強制的にその機能を停止してやった。
寝れるか!
つぐみのアホが。
早く帰って来い。

あいつから記念日って言葉を聞かされる度にイライラしてきた。
毎回覚えてない事を責められる。
毎回喧嘩になる。
でもイライラの理由はそんな事じゃない。
俺は、ただ―…

「ちっ」

舌打ちをしたのは、何に対してだろう。
気がつけば部屋中の戸締まりを済ませて鍵を引っ掴んで外へ飛び出していた。

追いかけないと誓ってから僅か15分。さすがに早過ぎる。
はいはい、どうせ俺はヘタレですよ。
出てった女を腰を据えて待ってる事すらできないちんけな男だよ。

めんどくせーうっとおしい記念日女め。でも、いないと一日が100時間くらいに感じる。気になって昼寝もできん。
見つけたらめちゃくちゃ文句言って…


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