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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…最終章(後編)-29

「で、でもさ…この作戦って、そのさくらって子が俺たちじゃないほうを選ばなきゃ意味が無いんだよな…?」

風炎は、当たり前だというように頷いた。

「大丈夫なのか…?」

不安げに聞く彼らに、風炎はもう一度、茜そっくりの笑顔で笑って見せた。

「大丈夫よ」



++++++++++++++



サンドペーパーで壁を擦るような息の音と、荒々しい息の音が部屋中に響いていた。時折混じる嗚咽は、ボロボロの人形のような体で横たわる獄のものだ。

「分かっただろう、飃…」

何度斬っても、獄の体は磁石のように、また元通りに繋がってしまう。黒ずんだ血がそこら中に飛び散って、地下室は地獄絵図と化していた。

飃の体に残された傷はどれも浅かったが、無数の引掻き傷のように顔から体から、いたるところに赤い筋を残していた。

「私は…」



「そう簡単に、あたしの居ないところで勝手に死なれちゃ困るのよ!」

聞き覚えのある声に、二人は扉のほうを向いた。

「英澤茜…?」

彼女は、目を丸くする二人の男のもとへつかつかと近づいていくと、床の上の獄を見た。

「いい格好ね、獄…死にたくても死ねないですって…ほんと、皮肉だわ」

言い放つ彼女の表情には、憐憫の欠片も無かった。

「茜…」

彼女の瞳には憐憫など無かったが、憎しみも、何処にも無かった。

「あんたを殺すのは、あたしの役目よ」

そう言って、飃を振り向いた。

「このヒトの足を、抑えててくれる?」

飃は頷いた。

「それから、雨垂を貸してね」

彼女は血まみれの槍で獄の左手を貫いて床に留めた。もう、獄には抗う気力も残っては居ない。

「あんたに謝罪を求めたりはしないわ。でも一度は…」

そして、朱塗りの鞘から剣を抜くと、言った。


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