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名もない恋心
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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名もない恋心-1

あなたには奥さんがいる

子供がいる

ちゃんと知ってる


でも

知りたくなかった

左手の薬指

気付いた時には

もう

手遅れだった

手を繋いだ後だった

キスをした後だった

素直になれた後だった

好きになった後だった

それでも

離れられなかった


後部座席のチャイルドシート

見ないようにするけれど

大きすぎる存在感

流行りの子供ためのステッカー

つけてるんだね


携帯の待ち受け画面

見えなきゃよかった

あたしちゃんと笑えてたでしょ

そんな顔しないでよ

傷付いたりなんてしない

子供の笑顔がそこにあっても


待ってたのになんて

そんな簡単に口にしないで

嬉しいなんて思いたくない

期待なんてしてない

そのくらい思わせてよ

もうそれしか残ってないんだから

それはあたしの砦


気をつけろなんて言わないで

心配なんてしなくていい

どんなに頑張ったって

あたしは貴方のものにはなれないんだから

貴方はあたしのものじゃない


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