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「すき」
【二次創作 恋愛小説】

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「すき」-1

「元気出しなよ!今日、飲みに行こうか!」

ううん、

―私は首を振って、胸の前で大きく“×”と腕で書いて、少し笑った。

こんなにも思ってたんだって再認識。
想う相手がいなくなったことへの喪失感。
様々な思いが頭のなかで繰り返されていた。

これが“心に穴が空く”ってことか。

妙にぴったりでまた少し笑った。



気付くと家の玄関まで来ていた。

家に入るとすぐに風呂場に向かい、服も脱ぎっぱなし、ドアも開けたままでバスタブにうずくまった。

気を紛らわせようとつけたラジオからは甘い愛の歌ばかりが流れてくる。

―ちょっと失敗

呟いてまた笑った。

抱いた膝に次々としずくがこぼれてくる。

なんだ、これ?

ふふ、と笑って気付いた。
私、ずっと泣きたかったんだ。

我慢してであろう涙が堰を切ったかのように流れてきた。

すき、すき、すき、…

何度も呟いた。
想いの隙間を埋めるように、何度も、何度も。


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