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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第26章-8

「来い。青嵐が、お前に話があるといっている」

「なら最初からそれだけ言えばいいでしょ、この…この…」

足を踏み鳴らして憤然と、後をついていきながら私は言った。

「嫌味野郎、か?」

澄ました声で、彼は先を越して言った。

「ネガティブ野郎!」

私は訂正したものの、その言葉に効果があったとすれば、秋声の鼻笑いを買っただけだった。


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さくらが子供達と野球に興じていた頃、村で一番大きな長の屋敷、すなわち飃の屋敷には、八長と青嵐が日本の地図を囲んで会合していた。外で響き渡る子供達の声を耳にしながらも、その表情は晴れない。
「…蛇族、鳥族は連合を承諾してくれている。統括者の居ない付喪は協力の申し出があれば、そのものの住まう地方の軍に随時受け入れることにする」

妖怪の個体数、種類において日本で一番の数を誇る陸奥の長、吹雪が、立てた片膝に肘を休めて、もう片手で地図の上に、兵を表わす駒をおいた。
「雪妖達は?」
中国地方を統括する颶がエエンレラと吹雪に聞いた。
「ほとんどが軍に加わってくれることになった…しかし、幼いものと、か弱いものはやはり北においていく」

それには全員が頷いた。日本中の妖怪に援助を求め、万が一全滅と言うことになったときに、生き残るものがいないようなことにだけはしてはならない。

「戦に向くもの、向かぬもの、わけ隔てなく迎え入れて戦力は一万に満たない、か…」

ウラニシが、渋い声で呟く。

「澱みは無制限に増える…時間をかければかけただけ、勝機は失われることになります」

南風の言葉に、青嵐が考え深げにため息をついた。

「龍は…望みなし、か?」

中国の颶が、力なく首を振る。

「まだ、都の中に澱みの残党がいるのです…怖らく其れが奴らの目的だったのでしょう」

「一匹残しとくと、ゴキブリみてえに増えやがるからなぁ、澱みってやつは」

「冗談ではないのですよ!」

はっはっは、と笑った御祭の言葉に南風が噛み付いた。御祭は、首をすくめてごまかしておいて、南風がそっぽを向くと、子供のように歯をむき出して見せたりした。狐と狸の相性は決していいとは言えないが、輪をかけてふざけるのが好きなご御祭と、輪をかけて真面目な南風は、なおさら打ち解けることが無かった。

「とにかく、だ…俺たちに勝機を窺う余裕はねえ。陽動、だまし討ち、はったり…なんでも良いからぶちまけるしかねえ。隙を作って一点突破だ!これしか手はねえ!」

青嵐は勢いよく言った。

「あぁ…」

静まり返った部屋の中に、御祭の感嘆が漏れる。

「あんたのそういう、潔く無茶なところ。ワシは好きだぜ」

その言葉に、今度は皆が笑った。


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