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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第26章-13

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清々しい夜だった。じめじめした空気のせいでシャツが肌に張り付く事もない。絶えず優しげに吹く涼風が、再び訪れようという夏日に耐えよと地面を労い、幽かに青く光り始めた空が、新しい夏日の到来を告げていた。
「やっぱり、行くんだ」
「うん」
人気のない公園にぽつり灯る街灯はそれほど人の表情に変化を与えはすまい。でも、私を見返す彼女の瞳には、星影よりも眩しく、太陽よりも優しい、キラキラと光る何かが輝いていた。
「止めないの?」
英澤茜は言った。彼女らしいユーモアの響きをたたえて。さくらは力無く首を振る。
「止めたって…無駄だもん」
ぽつり、と、まるで不満を口にしたみたいに後が続かない。そんな彼女の肩に手を置いて、茜は言った。
「大好きだよ、さくら」
そして、さくらが返す言葉を待たずに立ち上がり、彼女の手が届かない所まで行ってから、くるりと振り返った。シンプルな白いワンピースは良く似合っていて…似合いすぎて、まるで…
「またね!」
まるで…夢の中の出来事。

翌朝、風炎は見つけるだろう。愛しい人の温もり絶えたベッドを。そして、彼女が断固たる決意を胸に、戦いへ赴いた事を知るだろう。
「“またね”なんだからね…茜…」
誰も居ない公園の木々の間からのぞく明け空に、彼女の笑い声が消えた。



サヨナラ、じゃあ、ないんだからね。


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