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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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Stormcloud-33

神立はその様子を見て、急いでそこへ向った。攻め寄せる澱みの大軍は、まるで無尽蔵で、斬っても斬っても数が減るどころか、どんどん増えていった。

閃光の見えた場所にあった建物はほとんど崩れ落ち、雲のような砂塵のせいで神立からは二人の影は見えなかった。ただ、巨大な龍が叫び、のたうちながら、そこいら中に血を撒き散らしているのが目に入った。

颱は、寒雲が龍に変化するのを察知し、自らの雷が発する閃光で寒雲の目をくらました。そしてその隙に、取り落とした青龍刀で龍の肩を裂いたのだ。激昂する寒雲の周りには、どす黒い雷雲が何処からとも無く現れ、脅すように光っていた。

龍は吼えて、巨大な手で颱をたたきつける。彼の体は崩れかけた壁にぶつかって張り付いているように動かなくなってしまった。寒雲はこれでとどめと振り上げた。あの鋭い爪は、颱の身体をずたずたに引き裂いてしまうだろう。

神立は上空から狙いを定め、龍の髭に飛びついた。

寒雲はすんでのところで神立に気づいて身を避けた。怒りの咆哮を上げ、神立に尻尾と雷を飛ばしてくる。尻尾はかろうじて防いだものの、雷は神立を襲った。

「ぐ、う…!」

落ちてゆく神立を見て勝ち誇った叫び声を上げる龍に、颱が声をかけた。

「言葉を失ったのは…貴様のほうだ!」

龍は振り向きざまにまたあの閃光を浴び、苛立たしげに吼えた。

颱は潰れていないほうの右肩を使って青龍刀を寒雲の髭に向かって投げた。

刀はひらひらと閃きながら空を裂き―見事に龍の髭を切った。

すると寒雲は白目をむき、気を失ってその場に倒れた。地響きと、もうもうと立ち上る粉塵が収まると、完全に伸びてしまっている寒雲がそこに居た。

神立が、こわばる身体をフルに動かしてたどり着いたときには、颱が縛り上げた寒雲を衛兵に突き出しているところだった。

その間にも澱みの数は増し、都は混乱を極めていた。龍の姿となって雲を逃げ出すものたちの中に、春雲の姿がどうかありますようにと、神立は祈った。



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どうか、寒雲なんかに殺されていませんようにと、春雲は祈った。

龍宮の隅から隅まで、最上階から逃げろ、逃げろと叫んでは、たたき起こして周り、今は3階に居た。最上階は王と后しか入れないが、世話係や小姓の寝所や詰め所がある。

4階は妾たちの部屋。化粧道具や装飾品を持ち出そうとする彼女たちをしかりつけて、春雲は何とか全員を脱出させた。

今居る3階には役人や書士が要る。上階の騒ぎを聞いたのだろう、ほとんど人は残っていなかった。2階にはほとんど住むものは居ない。そこは宝物個で、煌びやかな衣装や祭りに使う刀剣の類が保管してある。1階の兵士たちについては、寝返るにしてもそうでないにしても残って戦うべきだろう、と思ったので、3階を見回ればあとはほとんど残っているものは居ない。


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