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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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Stargazers-13

「ダイビングをしてたわけじゃなさそうだね」

自分の格好を見下ろして、彼女が苦々しく言った。

「私…何も覚えていないの。自分の名前も…どこに住んでたのかも…。」

「少なくともこのあたりのどこかに住んでたんだろうな…日本語が凄くうまいから。」

その言葉に、彼女は当たり前のように口にした。

「うん。だって私のママは日本人だもの…」

そう言うやいなや、彼女はばっと顔を上げて、彼を見た。そして、二人で顔を見合わせ、声をそろえて言った。

「思い出した!」



「多分、一時的なショック状態っていうんじゃねえの?」

村から持ってきた食べ物を食べながら話す二人は、10時の太陽に照らされていた。かれこれ5時間近くも、二人は据わって話をしていたのだ。しかも、それに気付くとか、疲れるふうもなく。シーサーは元々好奇心の強い種族だ。加えてカジマヤは自由気ままで好奇心旺盛なシーサーの特性を二乗したような性格だから、生まれて初めて出会った記憶喪失の、日本語が上手な、外国人との会話はとても楽しかった。

今の時点で、彼女は沖縄の本島に住む、おそらく15歳くらいの女の子ということがわかっていた。しかし、後は断片的な風景や、言葉だけがフラッシュのように頭をよぎるだけだった。

「そうかも」

「なあ…ええと、名前が無いと不便だな」

彼女はふと考え込んで、組んでいた足を一端のばしてからポケットの中の何かを取り出した。

「これ、ヒントになると思う?」

「みして」

受け取っては見たものの、カジマヤには理解できない記号が並んでいる。時たま町で見ることはあるが、そもそも狗族はあまり字という物と縁が無い。大事なことは口伝や伝承によって伝えられるし、歳経た狗族の中には、今でも字を読むことが出来ないものも大勢いる。狗族にとって必要の無いものだからだ。幸い、カジマヤは持ち前の好奇心と寛容な両親のお陰で文字を学ぶことを許された。ほとんど独学に近いやり方ではあったが。

カジマヤは首をかしげて、銀の鎖と、その鎖が通っている平たく小さな板を見る。掘り込んであるような文字が何行か並んでいた。

「読めないや」

言って、彼女に投げて返す。

「あたしには読める。スティーブン・リデル…この数字は…多分これは何かの番号…その後の“O”は血液型だわ」

「なんだ、名札かよ!」

解決したじゃん!といいかけるカジマヤを制して、彼女は読み上げた。

「“M”はMaleで、最後の“C”は…何だろう、所属部隊か何かかしら。」

カジマヤがさっと顔色を変えた。


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