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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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The kiss and the light-39

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内臓よ。もう少しの間でいい。あるべきところに収まっていてくれ。急場しのぎの呪文で、文句があるのはよくわかる。血も足りないだろうが、今は生肉を食ってる場合じゃねえんだ。

あいつを―殺さなきゃ。

俺の女に、足をかけていやがる。俺の女に、手を上げて、怪我までさせていやがる。

畜生、泣くなよ。そんなに嬉しそうに泣かれちゃあ…そんなに嬉しそうに。

「ワァアアル…なかなかお前もしぶとい男だ!」

男は、片ひじをついて身を起こしていた中谷の腕を足で払い、再び地面にたたきつけた。

「そっくりそのまま、お返しするぜ」

男は笑った。しかし、歯を食いしばったその顔は憤怒に燃えている。

「何度でも、何度でも!私に立ち向かうことが無駄だと、教えてやる!」

再び、手があの醜い鉤爪へと変化する。男の指がすっと上がって、飆を指した。それは優雅な動作で。

目の前に差し出した自分の腕が、白く光り、周りの空気が揺らめく。その延長線上に立つ、男の姿、打ち捨てられたホムンクルス達、そして、中谷。

「一度で十分だよ、ジャック。一度で十分だ」

二人の身体から、ピンと張ったワイヤーが伸びて、壁に繋がっているような緊張感。

どちらの、どのワイヤーが切れるのか…

−男がのばした鉤爪が、ミサイルのように飛び出した。

反射的に、全神経がその鍵爪に集中する―風は動いている―向ってくる陰―鉤爪を払う―無防備になった首筋に、あの鉤爪が伸びる―

「旦那!!」

刹那、ぐるぐると回転していた世界は動きを止めた。めぐりが男の顔に覆いかぶさっている。

「この畜生めが…っ!!」

鉤爪が、その小さな身体を裂く。一度、二度。

するべきことはわかっていた。

「旦那!早く…!!」

俺は、我武者羅に暴れる男の足首をつかんだ。



――生きているこの手は 今は温かくしかと物を掴みとれるが―

「この畜生奴!離せ…!」

―もしも冷たくなり

奥津城の氷の閉ざす静寂に入れば、そなたの日々に顕ち現れ そなたの夢見る夜々お寒からせよう―

「旦…那…それで良いんです、旦那…」

―ためにおのが心の臓の乾涸び血の気の失せばなと希う程に、

こなたの血脈に紅き生の蘇り流れるよう

そして 疚しきそなたの心が鎮められ

安らぐようにと―

「いやだ!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない―!!!」

―さ、御覧あれ―その手を差しのべているのだ―


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