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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈回想篇〉前編-2

城に戻って彼らが見たのは未だ慌ただしい景色だった。城の掃除や瓦礫の撤去作業、怪我人の看病や問い合わせ、要求を出しに城へ上がってくる国民、まだ避難している者で賑わっている。

 自分達だけじゃない、だれもが疲れ、はりつめている。もうずっと気力だけで動いていた。

 貴未の力で一瞬にして城に帰還した兵士達は、周りの景色に圧倒されながらも中を歩いていった。そんな彼らに気付いたのは女官長フレイクだった。

「貴未殿!」

「フレイクさん、只今戻りました。」

 フレイクは駆け足で貴未達のもとへ近付き、全員の顔を確認していく。疲れこそは見えるが誰一人として大きな怪我はなく、ちゃんと自分の足で歩いている。

「よく無事に戻られました。」

 感極まって思わず涙ぐむフレイクに皆の心は和まされた。おおよそ自分の母親と同じ位の歳であろうフレイクに面影を重ねてしまったのかもしれない。

「オレ達をそこまで思ってくれるのはフレイクくらいだよ。」

「何を馬鹿な事を!」

 冗談混じりに呟いた言葉をフレイクは諭すように返し微笑んだ。周りは相変わらず忙しく人が行き交っている。

「フレイクさん、陛下はどうされていました?」

「事後処理などされてらしたようですが、今日はお見かけしていないわ。指揮はサルス様がされているし。」

 そういえばと、思い出すようにフレイクは話した。しかしその言葉の中で貴未には信じられない事があった。

「サルスが?」

 貴未の短い問いにフレイクは頷くことで返す。一度は誰か他人の姿を借りなければ外には出れなかった人物が、今は誰の姿を借りる事もなく立っている。

「そっか。」

 自然と笑みがこぼれた。貴未は振り返り、共に遠征をした兵士に告げる。

「皆さん、お疲れさまでした。とりあえず休んで下さい。陛下には私から報告をしておきます。」

 貴未はフレイクに後を任せてサルスの元へ走った。もう体力なんてないはずなのに、高まる気持ちが体を軽くさせる。

 だいたいの予想はついていた。道行く人に尋ね渡り、視界の先に目的の人物の姿を見つける。


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