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君に捧げるアイシテル
【コメディ 恋愛小説】

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君に捧げるアイシテル-5

すぐに資料室から出て、ひたすら走った。
声をあげて泣きたくなった。自分は馬鹿だと本気で思った。

階段をひたすら登って、屋上に出る。
京子に授業をサボるとメールで伝えて携帯の電源を切る。
水滴がぽたりぽたりと落ちるのを見て、自分は泣いていたのだと気付いた。





私は、何をやっているんだろう。



先生が声フェチじゃなかったら。
私の喉がつぶれて喋れなくなっていたら。
先生と、会わなければ。



こんなに苦しい思いはせずに済んだのかな…。





屋上に響くのは、今1番大嫌いな私の声だけだった。



嗚咽が止まらずに、ただ屋上で座っていると、誰かの足音が聞こえた。

足音はドアの前で止まり、そしてドアが開いた。



「海…、どうしたんだよ…」



今1番会いたくない人が、そこにいた。



私は何も答えずにいた。こぼれるのは、泣き声だけ。

「寝てるときに海の声が聞こえた気がして…。さっきの授業の前に呼びに来たときも、ちょっと様子がおかしかったからさ、気になって」

やめて。
そんなこと言わないで。

涙がまた溢れてきた。

「もしかしたら、海、迷惑だったのかなって思ったんだ。『声が好き』なんて、海にとったら気持ち悪いだけだもんな。ゴメンな、嫌な思いさせてきて」

違う。
違うの。

「実は昼休みも、海に『アイシテル』なんか言われる夢見ちゃったんだ。おかしいよな、俺。海が好き過ぎてそんな夢見ちゃうなんて」

嫌だ。
ヤメテ…!!


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