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七夕には愛を囁いて
【幼馴染 官能小説】

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七夕には愛を囁いて-1

しんしんと雪が積もる12月25日、クリスマス。
神様がくれた最大のチャンスは、7割くらいの成功と、2割の失敗と、1割の疑問を残して幕を閉じた。

懐かしい高台で、綺麗な夜景を見ながら、息も触れ合う車内で寄り添って………完璧なはずだった。
正直に言うとホテルのスウィート…いや、そこまでは望まないけど、もう少し高級なレストランとかでアタックするはずだったけど。どうも兄弟感が抜けきれず、スーパー「如月」経由、思い出の高台になってしまった。

他愛の無いお喋り。
自分から勇気を振り絞ったキス。

そして

「そんなの、いつも心の中で言ってる」
色々あったけど、照れ笑いを浮かべながら、よっちゃんはそんなセリフと甘いキスをくれた。

私は嬉しかった。
本当に、幸せ過ぎるってまさにそう。
よっちゃんの手で翻弄され、心も身体もトロトロ。
7割の成功にその日は有頂天で気が付かなかった。


よっちゃんは私を、好き、なのかな?


小さな疑問は、今まさに破裂の危機を迎えている。





クリスマスのあの日以来、会うのが恥ずかしかったが会ってみれば意外にたいした事は無くて。
いつも通りに普通で。
悪態ついて、ふざけあって、ダラダラして。
互いの隙間を通り抜ける空気はいつも通りのぬるま湯。
だから。意識してるのが自分ばかりだと恥ずかしくて、敢えてふれないことに決めた、のだが。
月日ばかりが過ぎ去って。
もう、半年以上。
織り姫と彦星だってイイコトしてる七夕。つまりはもう、夏じゃん。


「よっちゃん、よっちゃん」
ねぇねぇ、と小声で話し掛けるが、よっちゃん、こと、幼なじみの岡井義文(オカイ ヨシフミ)は完璧にシカトしている。
白を基調とした町役場。最近隣町と合併して支所と言うネーミングがついたが、イマイチ浸透しないくらいのド田舎で、今日も元気によっちゃんは市民係のカウンターで書類と睨めっこ。
時折後ろのコピー機に走り、時折パソコンで書類を製作し、時折話に夢中になるお婆ちゃんに相槌をうちながら清算をしたり。
忙しい。しかも夏真っ盛りのこの時期、エアコンやクーラーの無い役場は死ぬほど暑くて、辛うじて回っている扇風機なんかじゃ手に負えない。窓全開なんて全く無意味。
豪雪地帯なのだがやはり盆地。今年の気温もうなぎ登り。都会とは違う暑さに早くも夏ばて気味だ。
だけど、あたしはよっちゃんを観察し続ける。何故なら野望があるのだ。
その為には、絶対、何が何でも。よっちゃんに「うん」と言わせる。
だからどんなに暑くても、シカトされても、他の人に笑われても、呆れられても、カウンター越しの対面に居続けてやる。

「お前、いい加減にしないと怒るぞ」
ぷぁーーーっとサイレンが鳴り、お昼を知らせてくれる。
市民係の同僚さん達は、よっちゃんに近づくまいとお昼に出掛けて行った。


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