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「盗聴器」
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「盗聴器」-1

病院の一室

難病で入院して五年になる彼

彼の趣味は盗聴

隣の病室にミカという女性が居た

彼と何でも話が合った

二人はいつしか恋人になった

ミカと話が出来るのは、検査などが無い
昼間の僅かな時間…

ミカの部屋に、彼は盗聴器を仕込んだ

盗聴器は30分程しか電池が持たなかった

なので、直ぐに電源が落ちてしまう

ある日、隣の部屋のミカの泣き声で目が覚めた

盗聴器のスイッチを入れた

「あと、長くても一週間…」

医師の声が盗聴器から聴こえた

ミ、ミカ…

何て事だ!?

彼女との五年の思い出が
走馬灯のように頭を駆け巡る



翌朝




頭が割れそうに痛い…

体調もかなり悪い…

フラフラでミカが居る休憩所へ

哀しい顔で彼を見るミカ

ミカはあと一週間…

あまり話す事が出来なかった…

明日、またこの時間に…

彼はフラフラしながら部屋へ戻る

途中、振り向いてミカにニコっと笑った



しかし…




それが彼の最後の笑顔となった

その夜

彼の病状は悪化した

「俺…もう駄目かも知れない…」

最後にミカの声が聞きたい…

徐々に薄れゆく意識

彼は、ナースコールではなく
盗聴器のスイッチを入れた

盗聴器からはミカの声…

ミカ…

ミカは、泣きながらこう言った

「神様、彼をもっと長く生きさせて…」

彼!?

まさか、あの時の医師とミカの会話って!?


数分後、盗聴器のバッテリーが切れた…   【完】


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