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『好き』の答え
【純愛 恋愛小説】

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『好き』の答え-1

今日のこの日をあたし、神楽雫はどれだけ待っていただろう。
あたしの幼馴染み兼大好きな彼、穂積隼人は数学が得意。
「数学の宿題でわからない所があるから教えて〜。」
助けてくれ、といわんばかりに隼人の部屋に押し掛けた。

「で、これはこの公式を当てはめて…。」
うんうん、と相槌を打ちながら隼人の顔を眺める。
小さい頃は女の子みたいだったのに、いつの間にこんな風に男っぽくなったんだろう。
じぃ…っと見つめるあたしの視線に気づいたのか
「どした?」
顔を上げる。
今しかないっ。

「…あたし、隼人のこと好きなんだ。」
言ってしまった。これを言うために今日は隼人のとこに来たようなもの。
もう、後戻りはできない。

「俺も雫のこと、好きだよ。」
にっこり笑って隼人は言った。
…っ信じられない。両思いだったなんて。こんなことなら、もっと早く告白しておけば良かった。
「じゃあさ、あたし達付き合うってことだよね?」
途端に隼人の眉間に皺が寄る。
「え…。それはやだ。」
はい?今なんと言いました?
「…うちら、両思いだよね?」
さっきの「好き」は聞き間違いだったのだろうか。

「そうだよ。」
聞き間違いではないらしい。ほっと胸を撫で下ろす。
「…って、じゃ、なんで付き合わないの?」
首を傾げる。

「なんで付き合うの?」
逆に質問されてしまった。
なんで…ってそんなの
「好きだし、一緒にいたいから?」
「今だって一緒にいるし。別に付き合わなくたっていいじゃん。このままでいようよ。」
なぜそうなる…。
あ、もしかしてあたしの「好き」と隼人の「好き」は違うのかな。
だんだん泣けてきた。
「隼人は、あたしのこと友達として好きって言ってくれたんだね。でもあたしのは違うよ。」

なんで頑張って告白したのに、こんなことになってんだろ…。
「俺も、友達としてじゃなく恋愛感情の「好き」なんだけど。」
隼人の気持ちが全くわからない。
「じゃ、なんで…っ。」
「俺…雫と別れたくない。」
は?
思わず目が点になってしまう。
「だってさ、友達なら一生モノだからずっと一緒にいられるけど、付き合うってことはいつか別れるんだろ?俺やだ。雫のことすげぇ好きだし大事だし、離れたくない。」
ちょっとちょっと、何気に凄い告白されてないか、あたし。
でも、なんだろ、この腑に落ちない感じは…。

というか、腹が立ってきた。
「…じゃあさ、あたしが他の誰かと付き合ってもいいわけね。」
冷たく笑いながら告げた。
「え…っ。」
途端に隼人が焦り出す。
「だって、そうでしょう?付き合わないってことはあたしはフリーなわけなんだから。」

「それは…考えてなかった。」
本気で悩んでいるらしい。頭を抱えている。
…答えは出てるでしょ。
「どうする?」
ここまでしないと答えが出なかった罰。
きちんと言葉にしてもらいましょ。
「俺と…付き合ってください。」

〜Fin〜


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