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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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笹沢瀬里奈の悩み 〜Love trouble〜-6

「うっひゃー」
 ごった返す人波を見て、秋葉が感心した声を出した。
「うげぇ……」
 人込みの中に多数混じる華やかな女性を見て、龍之介がうんざりした声を出す。
「龍之介……」
 袖を引っ張って美弥が注意を促すと、龍之介はげっそりした表情で頷いた。
「大丈夫……」
「お二人さん、まずは何か腹に入れていいか?」
 秋葉の声に、龍之介は上を見る。
「小腹が減る前に、満たしときたいからさ」
 輝里が、秋葉の服の裾を引っ張った。
「んぁ?」
 秋葉が、輝里を見る。
「キ、キャプテン……私、お腹に溜まる物買って来ますからっ」
 言うなり輝里は、浴衣の裾を翻して人込みの中へ消えてしまった。
「あ、おい……」
 その後を追い掛けて、秋葉が行ってしまう。
「あ……」
 美弥と龍之介は、顔を見合わせた。
「……どうする?」
「二人だけじゃあまだ心配だよぉ……」
 その言葉に、龍之介は肩をすくめる。
「じゃ、追い掛けるしかないな」


「うおっ……ちみっこいから、どこにいるか分かんねぇ……」
 周囲の人間より頭二つ分は背の高い秋葉がこの人込みの中から小柄な輝里を見付け出すのは、至難の技だった。
 きょときょとと周囲を見回していると、背後から声をかけられる。
「キャプテンッ」
 振り向くと、輝里がそこにいた。
「あの、これ……」
 おずおずと、輝里はタコ焼きを差し出す。
「芝浦……」
 ホッとして、秋葉は息をついた。
「いきなり消えないでくれよ。迷子になられるのはごめんだぞ」
 輝里は、口元に手を当てる。
「あ、ごめんなさ……」
 秋葉は微笑んだ。
「ま、見付かったんだからいいさ」

 言って、輝里の髪をくしゃくしゃに撫でる。
「それより、あの二人は……」
「おぅい」
 少し離れた場所から声がかかり、秋葉はそちらを向いた。
 美弥を盾に周辺の女性から守られるようにして、龍之介がやって来る。
「龍之介……悪ぃな。手間かけさせちまった」
「見付かったんなら構わないけどさ……それか?お腹に溜まる物」
 龍之介は、輝里が差し出したままのタコ焼きを指し示した。
「ああ、そうだった」
 秋葉は礼を言って輝里からタコ焼きのトレイを受け取り、爪楊枝をぷっすり突き刺す。
「んじゃ、いっただっきま〜す」
 秋葉が幸せそうにタコ焼きを頬張り始めると、龍之介は肩をすくめた。
「それじゃ、僕達も何か適当にお腹に入れときましょうか」
「そうね」
 同意した美弥は、輝里とアイコンタクトする。
『二人きりの方がいい?』
『駄目駄目駄目!緊張しちゃって何も喋れなさそうだから!』
 ばたばた手を振り輝里は答えた。
 その間龍之介が秋葉に話し掛けて気を逸らしているのだから、なかなかにいいコンビである。


 結局四人でタコ焼きだのお好み焼きだの手軽で気軽でお腹に溜まりそうな物を食べ、腹拵えをした。
 そしてこれからお祭りを楽しもうという時、それは起こる。
「あ、瀬里奈だ……」
 しっかり服を着込んだ瀬里奈が山科と連れ立って歩いているのを、美弥が見付けた。
「ん?」
 その言葉に龍之介が反応し、そちらを見る。
 ツンとした様子の瀬里奈に、泡を食って媚びへつらうような態度の山科。
「いちおー仲直りしたのかな?」
 瀬里奈が山科の事を疎ましがっているように見えなくもないが、美弥はそう呟いていた。
「いや……どうだろう」
 瀬里奈の事を窺う山科の目付きに尋常ではない物を感じ取り、龍之介はそう返す。
「……私、呼んで来る」
 龍之介が何か言うより早く、心配に駆られた美弥は瀬里奈の元へ行ってしまった。
「瀬里奈!」
 声をかけられた瀬里奈はこんな所に友達がいるとは思っていなかったのか、驚いて目を丸くしている。
「奇遇ね!」
 だがすぐに、笑みを浮かべて近寄って来た。
「わぁ、浴衣ね……高崎君も一緒?」
「うん。無理矢理引っ張って来ちゃった」
 きゃあきゃあと騒ぎながら、美弥は目配せした。
 その目配せに、瀬里奈は頷く。
「あ、山科君。それじゃあね」
 瀬里奈は素っ気なくそう言い、山科が何か言うより早く美弥とその場を離れた。
 二人はそのまま、三人の元へ移動する。


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