投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

夏の始まり、夏の終わり
【大人 恋愛小説】

夏の始まり、夏の終わりの最初へ 夏の始まり、夏の終わり 13 夏の始まり、夏の終わり 15 夏の始まり、夏の終わりの最後へ

夏の始まり、夏の終わり(前編)-14

勿論、今までだって人に謝ったことはあるが…

本当に相手を傷つけたり…嫌な思いをさせたり…

それが過度であればあるほど、本当に謝りたい気持ちをどう表現すればいいのか分からなかった。





雪が溶け始め、この町にも淡い緑の芽吹きが目立ち始める頃。

男は、再びこの町に立ち寄った。




男は、暖かいココアではなく、小さなチョコレートを買った。

それを口に放り込み、店の前の大きな桜の木を眺めている。



私は、挨拶の後の言葉が続かない。


考えた末、結局何も思いつかずに…





私は駄菓子をかき集め、彼に手渡した。



「この前は、本当にごめんなさい」




スーツ姿の男に、駄菓子を手渡しごめんなさい…など

あまりにも子ども染みていると分かっていても…





私には、これが精一杯の謝罪だった。




男は、少し黙った後笑顔で言った。




「気にしないで下さい、過去は過去ですから」


「え?」




「この先、どうするかですよ」





男の笑顔と言葉が、私はとても嬉しかった。

涙が出そうな気持ちを必死で我慢し、私は謝り続けた。


夏の始まり、夏の終わりの最初へ 夏の始まり、夏の終わり 13 夏の始まり、夏の終わり 15 夏の始まり、夏の終わりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前