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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!Ulast-9

「教育係の件で悩んでるんじゃないのか?オレだけじゃない。
 達也や淳、それに相田や保田も言って来たんだ」

「有理ちゃんや尚ちゃんも?」

「ああ、オマエが最近、元気が無いって……どうしたんだ?」

 佳代はようやく重い口を開いた。

「練習で、笑って1年生の相手は出来るようになったんだけど、何だか、どんどん気分は落ち込んじゃって…」

「落ち込むって…?」

「…何て言うか、気持ちと表情がバラバラで、そんな自分がイヤで…」

 任命されて2週間あまり。彼女なりに無理していたのだろう。

 直也は〈よし、分かった〉と言うと、佳代を見た。

「明日からオレも一緒に付くから。しばらく2人で1年生に当たろう」

「…直也」

 心配気な表情の佳代。しかし、直也は笑みを浮かべる。

「まだチームが動きだしたばかりで慣れてないんだ。
 しばらくすれば上手く出来るさ」

「ありがとう…」

 俯き加減の佳代。夕闇に紛れていたが、彼女は頬を染め、目を真っ赤にしていた。


 翌日から1年生を教える佳代と直也の姿があった。




───


 1月最終週という1番寒い時期。
 このところ、ジャージ姿だった一哉と葛城が、この日、ユニフォームを着て現れた。

 そればかりか、永井は整列する部員達に言った。

〈今日からピッチャーと野手は、別メニューで練習を行う〉

 まずピッチャー。
 ランニングはそのままだが、ダッシュや切り替えしなどの瞬発系トレーニングや、筋力トレーニングが無くなった。

 野手については、筋力トレーニングや素振りはそのままだが、ランニングや瞬間系トレーニングは半分になった。

(やった。これで少しは楽になる♪)

 足を使う練習が減り、佳代は脳天気に喜んでいる。


 しかし、


「バカヤロウが!今のは捕れるだろうがぁ!」

 内、外野に分かれてのノックが新たに加わった。

「打球が来てじゃ遅いんだ!打者の動きから、反応しろ!」

 容赦ない怒号が浴びせられる野手達。

 左右に振られる打球。様々な打球の回転。
 まるで、久しぶりのノックに反応出来ない身体の感覚を、早く呼び醒ますように、永井と一哉のノックは1時間以上続いた。

 グランドの端では、直也に淳、稲森に1年生ピッチャーの和田が50メートルほど離れて遠投を繰り返しており、ブルペンではフル装備した山下が葛城の指導で、バウンドした球のキャッチング練習をしていた。

 いよいよ。新生青葉野球部が動きだした。


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