投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 191 やっぱすっきゃねん! 193 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!Ulast-3

「あんな恥ずかしい思いしたの初めてだよ!」

 家族揃っての夕食時。
 いつものように佳代のお喋りから始まり、朝のイヤな事が口を付いて出てしまった。

「…だったら明日から遅刻しないで行きなさい」

 その話に、母親の加奈でなく、父親の健司が意見を言った。

「だって!遅刻ったって2〜3分だよ!」

「それでも佳代は、皆に迷惑を掛けてるんだ。明日から10分早く家を出れば済む事だろう?」

「…そりゃ、そうだけど…」

「直也君や達也君がイヤな思いをさせたのは、佳代に遅刻癖を直してもらいたいからなんだよ」

「それも分かるけど…」

「佳代。誰も好きで叱ったりしないよ。叱る方も辛いんだ。
 でも、チームを成り立たせるためには仕方ない事なんだよ」

 健司の言う事はもっともだと佳代は思った。

「…分かった。明日から早く起きるようにする」

 そう言った佳代の顔は、先ほどまで見せた不機嫌さは無くなり、いつもの笑みに戻ってた。




───


 翌朝。8時半に部室のドアーが開いた。
 入って来たのは山下に橋本、直也それに稲森だ。

 まっ先に部室に来て、グランドで皆を待つ。前キャプテン信也がそうだった。

 着替えながら、直也が山下に話掛けた。

「なぁ、カヨ、来るかな?」

「さあな。もし、遅れりゃ土下座させるだけだ」

「…相変わらず厳しいヤツだな」

「仕方ないさ。アイツの遅刻癖を直すためだ…じゃないと教育係なんて出来ねえからな」

 山下は着替え終わると部室から出て行ってしまった。
 他の者も、次々とグランドへ向かっていく。
 ちょうどその頃から、入れ替わるように他の部員達がゾロゾロと現れた。
 そんな中、自転車で駐輪場へ向かう佳代の姿が見られた。

 山下は校舎の時計を見た。8時40分。いつもより10分も早い。

(どうやら土下座はさせずにすむようだな…)

 山下は心の中で安堵した。それは、橋本や直也も同様だった。

 9時8分前。グランドに佳代が現れる。それを迎える山下の表情は柔和だった。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 191 やっぱすっきゃねん! 193 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前