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一人舞台
【純愛 恋愛小説】

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一人舞台-4

「読んでみろよ」
中嶋の言葉で現実に引き戻された。ずっと掴んでいたらしい原稿が汗でくちゃくちゃになっている。俺はページをめくった。
『仁志へ。あなたの小説が最終選考に残る事を祈ってます。いやいや、目指せ優勝!って、違う?このお話はね、仁志の真似して書いてみたの。下手くそだけど時間ができたら読んでみて。朋子からのラブレター、とでも思ってください。ずっと好きだよ、仁志。朋子より。』
原稿にびっしりと埋まった懐かしい筆跡。それを指でなぞると黒いインクが滲んだ。その時初めて、俺の頬に涙が流れている事に気付いた。
内容は十ページ程の短編で、何て事はないストーリーだった。『一人舞台』と書かれたその小説の題名が妙に俺の中に残って、最初は渋っていたものの、気がつけば中嶋が居る事も忘れて物語に夢中になっていた。

 
『劇団の中で一人、売れない若手の役者がいた。彼は役を貰おうと必死で練習するものの、結果は認められず自分よりも若い役者にまで役を奪われてしまう。
しかし、男は誰もいなくなった舞台の上を舞い続ける。来る日も来る日も、誰もいない観客席に声を張り上げ役を演じる。』


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