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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.8-9

「さて」

フィルターぎりぎりまで吸い込んだ煙草をぐりっと灰皿に押し付ける。膝を立てて床から立ち上がると、こじんまりと正座をしていた愛美を促した。
「え?」
「行くぞ」
テーブルに投げられた鍵を掴み、玄関へと向かう。
「なんだ、もしかして期待した、とか?」
にぃっと笑って雪駄を突っかける。後ろを振り返ると愛美が顔を赤くして睨んでいた。
「行き先が俺の家で、シャワーも浴びて、夜も遅くて期待したんだろ。セックスに」
泣きそうな、でも明らかに怒っている愛美を面白そうに眺める。

「簡単に大人になんかさせねーよ」

声が波音に混ざる。

「……え?」

愛美の鼓膜に響く頃には、大河内が車で騒ぐ声が辺りに響いていた。





「冷てえ」
シートに染み込んだ雨水は冷たく、ビニール袋越しでも気持ちの悪さが伝わる。悪態をつきながらハンドルを握る大河内。
かれこれ半時ぐらい愚痴りながら運転するのを、愛美は呆れながら窓の外を眺めていた。
確かに冷たい。大河内と同じ状況下に置かれた愛美だが、先に雨の中に飛び出してしまった罪悪感からか口を閉ざす。
「やけに大人しいな」
「そう?あ、そこの信号から住宅地に入って」
「ん」
かっちん、かっちん。
方向指示機の音を無言で聞く。流暢なハンドル捌きで繁華街の大通りから住宅地へと進路を変更する。

夜の帳は既に降り、住宅街は静けさに包まれていた。元々山を切り拓いて出来た住宅街なので、夏を感じるこの季節ならではの噎せるような土の匂いが漂う。
「まるで迷路みたいだな」
郵便局を右、コンビニの手前で左、信号から三つ目を……。愛美の指示通りに進路を変えるがあまりの複雑な道程に顔をしかめる。
愛美の指示は適切で解りやすい目印を織り交ぜているのだが、それでも山の斜面に立ち並ぶ家々の隙間を縫うのは幾ら物覚えのよい大河内でも厄介だった。

「着きました」

住宅街に入ってから長い距離に感じたが、漸く目的地である愛美の家までたどり着いた。
愛美が言っていたように誰も居ないのが外から見ても解る。部屋の明かりも無い、声も聞こえない、人の気配も無い。
「本当に誰も居ないんだな。もう十時近いのに」
玄関脇の車庫に停め、大河内は呆れながら言う。少し一服させてくれよ、と煙草に火を点けたので愛美は仕方なく車内で話に付き合うことにした。
「両親は別居中で。この家には私と母で住んでます。母はクラブのオーナーをしてるんで朝方にしか帰らないんです」
呟く声は硬く尖っていて、愛美の本心とは折り合いが着いていないのだろう。俯く横顔は強張っていて、強がっている顔だ。
「でっけー家なのに勿体ねぇのな」
煙で輪を作りながら言う。最後の一口を美味しそうに吸い込むと、短くなった吸い殻を車内に備え付けられた灰皿に押し込んだ。
「なあ…」
「ありがとうございました」
大河内の言葉を遮り、愛美は深々と頭を下げてドアを開ける。
だが、大河内の右手が愛美の腕を掴み引き戻した。


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