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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.8-7

「止む気配は無いな」
「そう」
「意地っ張り」
「そうかもね」
「今帰ったら風邪ひくぞ」
「だったら?関係ないでしょ」
降り出した雨は止む気配が無い。夕方から夜半にかけての降水確率、昨日チェックすればよかった、と愛美は折りたたみ傘のない自分を後悔した。
それでも。大河内の世話になるなんて真っ平だ。こうして何も無かった様に、誰もいない学校の軒下で隣り合う事すら嫌だ。
「送るって言ってんだろ」
「いらないです、って言ってるでしょ」
濡れることに意気込み、そろりと一歩を踏み出す。頭に刺さるような強い雨粒が体に染みる。
雨粒が自分に突き刺さるたび、酷く惨めな気分になった。ぱしゃんぱしゃんと音を立てて歩くたび、悔しくなった。
あっという間に肩が冷え、頭皮から流れる雨水が頬を伝う。
自分ばかり、なんでこんなにツイてないんだろう、頭を過ぎるのは他人任せで自分が一番嫌な考え方だ。自己責任を根底に物事に取り組んで来た愛美だが、今日ばかりは誰かに当たりたい気分だ。
涙がつうっと頬を下る。雨に流されて見分けは付かないが愛美は涙を流していた。

「ちゃんと泣けよ」

雨音に負けない声が愛美の鼓膜を震わせた。振り返ることは出来ないが、歩みを止めたことで一応大河内の話に耳を傾けたように伺える。
「頑張り過ぎだ。誰の手も借りない癖に、誰彼構わず手を差し延べる。疲れたも、苦しいも、忙しいも、全部我慢して。お前、馬鹿だろ。それか究極のマゾだな」
張りのある声が足音と共に近付く。愛美の背後に立つと無理矢理愛美を自分に相対するように振り向かせた。
「お前だってただの高校生だろ。何にも特別じゃない普通の女子高生だ。甘えたきゃ甘えればいい」
下を向く愛美の顔を上に向かせて自分の胸に押し付けると、逃げないように頭と体を抱きしめる。
抱きしめている大河内もずぶ濡れで冷え切っているが、お互いが触れ合う箇所はほんのりと熱を持っていた。

「さっきは、悪かった」

また強く抱きしめられるのは、きっと大河内も照れているせい。
ザーザーと降りしきる雨は視界を狭め、二人を咎めるものは何も見えない。

抱きしめられると留めておいた気持ちが決壊しそうだ。
我慢していたものは沢山ある。そう、こんな風に自分を抱きしめる腕に身を委ねたり、体を重ねたり。
クラスの女子同士だから解る経験の差。羨ましいって本当は思ってた。
だけど委員長だから、生徒会長だから、皆を纏める役だから望んでは駄目だと。我慢しなければいけないんだと思い込んでいた。

雨と大河内の言葉と二人の体温が心に染みる。
そう。
愛美を素直にさせていく。


「私を大人にして」





ずぶ濡れの二人は黙って車に乗り込んだ。
セキュリティを掛けてしまった校舎に再び戻るのが面倒で、シートに水が染みることぐらいなら何て事も無いからだ。
怖ず怖ずと助手席に腰をかける愛美を横目に、大河内は軽快に車を滑らせる。タイヤが雨水を弾きながら進み、フロントガラスのワイパーは忙しく動く。
「おい」
ふと、大河内がダッシュボードを顎で指し示す。
「煙草」
愛美は黙って従い、皺の寄った煙草を一本渡すと当然のように「火」と声が返って来た。
「火なんて無いわよ」
ダッシュボードにはライターらしき物は見当たらず、細々とした書類が入っているだけだった。


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