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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.8-4

机から離れ、怯える清水に一発小突くだけが段々エスカレートしていき、終いにはプロレス技をかけ始める。痛い、だの、馬鹿はテメエだ、だの、余った体力を消費しようと活発だ。
そんな様子に愛美溜は息を吐きながら黙々と書き写していた。英語、数学、歴史、世界史、現国、物理………
三人が疲れきって席に着いたとき、愛美の作業もちょうど終了を迎えたところだった。
「ほら、これ」
ぽん、と机の合わせ目にルーズリーフを置く。そして身支度を始める愛美を三人は訝しげに見上げた。
「各教科のヤマ。特に大事なとこだけピックアップしたから、必ず頭に叩き込んで。数学だったら公式、英語だったら文法」
おおおっ、とどよめきが走る。三人ばかりでは無く、周りに居るクラスメートでさえ呆気にとられていた。
「とにかく覚えて。解らなかったら明日にでも聞くから、とにかく覚えなさい。赤点ギリくらいまでなら保障するから」
マジで!!?と聞き返す。理系じゃなくても五教科を共にする文系もざわめきだした。
「じゃコピーしねーと」
にこにこして立ち上がる今井を、教室の入口から愛美が呼びとめた。
「コピーじゃ意味ないでしょ。書いて覚えるのが一番よ!何枚も書けば覚えるんだから!」
「えーー、たりーよ」
「怠い事やんなきゃ良い点なんか取れないわよ!楽してるから馬鹿なのよ」
そう言い放ち、大股で教室を後にする。なんだかんだ言っても流石は委員長。そして我が校の生徒会長様だ。
「また馬鹿だって、洋平。藤塚さん、かっちょいーね」
「うるせー、……ったく」
「あ、今井君が従ってる…」
「清水、テメエなぁ」
「え……?」
「懲りないねぇ」

うわあああああっっっ

廊下にこだまする声に眉をひそめながら愛美は深い溜息を吐いた。
雲が重なり始めた。
愛美は一階の渡り廊下で空を見上げ、不穏な空気に眉をひそめる。
そして、渡り廊下中央にある自動販売機に佇む小さな背中を見て愛美はまた更に首を傾げた。

瀬田和馬だ。珍しい。

愛美は放課後になると真っ先に部活に行ってしまうか、直ぐに帰宅する瀬田を不思議に思う。中庭には誰もおらず、夕立を待ち侘びる蛙の声がした。
「帰らないの?」
愛美は独り言の様に声をかけ、小銭を入れて清涼飲料水を買う。横目で瀬田を見ると、ブラックコーヒーとオレンジジュースを二本抱えていた。
「誰かとお茶でも?」
「別に」
そう言って、愛美と目を合わせないように旧校舎へと大股で消えていく。
そんな気の乗らない態度と返答に呆れもせず、愛美はふうんと頷いて瀬田の背中を見つめた。

「あたしも帰ろうかなぁ」

本当は今日で英語の課題を済ませたかった。本文を訳して演習問題をして、期末に向けて単語の覚え直しもしたい。だが、あの状態では集中できない。じゃあ生徒会室か、と溜め息を吐く。
生徒会長という肩書を愛美はあまり好んでいない。歴代、三年で特進の委員長が受け持ってきたしきたりだ。ただそれだけの理由が腑に落ちない。選挙も無ければ推薦もない。無責任過ぎる学校の体質が許せない。
こんなのは私の代で終わりにする。その決心だけで務めていると言っても過言ではない。
(でもまあ、こういう特権は有り難いけど)
鞄の外側のポケットから鍵を取り出す。生徒会室の合鍵は会長だけの特権だ。最後の職員が鍵を掛けるまでなら、何時まででも利用可能のお墨付きだ。見回りの職員も信頼しているし、邪魔をすることもない。
銀色の鍵を使って部屋へと入ると、長机が四つ中央をくり抜いた長方形型に配置され、椅子はパイプ椅子が壁に十脚ほど立て掛けられている。愛美はそのうちの一脚を広げ、腰を据えて英語の課題に取り組んだ。


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