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ヒメゴト
【OL/お姉さん 官能小説】

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ヒメゴト〜nothingness〜-3

「来いよ。西田。たまには飲もうぜ?」

携帯から聞こえてきたのは甲高い美映の声ではなく、慎哉の低い声だった。

更に陽介の心を擽る。

(三人なら気心知れたメンバーだし、ここで凹んでてもしょうがないし…)

「わかった。これから行くよ。」

意を決してそう返事をすると、
靄がかかった心が少し晴れた気がした。

「やった!待ってますね〜!」

テンションの高い美映の声も、
行く気になった今は、
うざったくも無くなっていた。

携帯を閉じて、
また溜め息を吐き、
陽介は会社を後にした。



―――居酒屋…

会社からはほんの僅かな距離で、
気持ちを完全に切り換え出来ずに到着してしまった。

(今日は…飲むぞ!)

陽介は静かに決意し、
店内に足を踏み入れた。

中は賑やかで、
慎哉と美映を探すのも一苦労だった。

辺りを見渡すと、
美映が大きく手を降っているのに気付いた。

手を上げて応えると、
美映の顔に笑顔が広がる。

「二人で何話してたんだぁ?俺はお邪魔ムシじゃねーの?」

慎哉の隣に腰を下ろし、
上着を脱ぎながら陽介はにやけて話しかけた。

「西田と久しぶりに飲みたくて誘ったんだよ。」

慎哉は上着を受け取り、
陽介にメニューを渡す。

「お邪魔ムシなんて事、ないですからっ!」

笑顔だが、何かを訴える様な言い方に、
陽介は引っ掛かった。

けどもう一つ一つを拾える程、
冷静にはなれなかった。

「とりあえず生中!」

慎哉にメニューを返し、
ポケットから煙草を取り出す。

火を付け、奥深くまで吸い込むと、
溜め息混じりに大きく煙を吐き出した。

陽介の微妙な態度に美映は直ぐに気付いたが、
慎哉の手前、口に出すのは止めた。

飲み物が到着し、
乾杯を掲げ、
談笑は始まった。


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