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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!UG-3

「…はい。 投げ込みはやってました…」

「じゃあ、練習の最後にシート打撃をやろう。 バッターは…そうだな…」

 そう言って、一哉は並ぶ部員達を物色してから、

「カヨッ!ちょっと来い」

 一哉に呼ばれ、佳代はそばに駆け寄った。

「なんですか?コーチ」

 一哉は佳代の肩に手を置いて、指示を出す。

「オマエ、最後にシート打撃やれ。稲森に投げさせるから」

「…私が…ですか?」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ。 女にオレの球打たせるんですか?」

 まともとは思えない一哉の考えに、声のオクターブを上げる稲森。

 その言葉に佳代は怒りの表情を露にする。

「分かりました!コーチ、やらせて頂きます!」

 大きな声を挙げ、頷いた佳代は稲森を睨み付けた。

「覚えてなさい!アンタの球、絶対打ってやるから!」

 稲森も負けていない。

「だれが女に打たせるかよ!かすらせもしねぇよ」

 こうして日曜日の練習が始まった。

 まず長距離トレーニング。 平日なら朝、夕に分けて走るのを、野手は15周、ピッチャーなら20周をぶっ通しで走る。

 稲森にとっては未知の距離だ。
 やっと付いて行けてたのが、距離が伸びた事によって途中で息が上がってしまった。

「…はっ!…はぁ…だ、ダメだ…」

 初日ほどではないが、やはり大きく遅れてゴールする。

 その後はストレッチに腕立て、腹筋や背筋、スクワットに四股は、平日と同じ回数をやらされたが、素振りは朝、夕合わせて 200回だったのが、 続けて300回振らされた。

 途中、水分補給やバナナを食べるための休憩は挟むのだが、その時間がわずかなため、ぶっ続けで練習をやってる気分になる。

 だが、誰ひとり脱落せずに続けている。

(…皆んな、よく続くぜ… )

 そんな姿を見て、稲森の方はだんだん気持ちが萎えてきた。

 その後も長時間のキャッチボールやノックが続いていたが、 2時頃になって永井が稲森と山下を呼び寄せた。

「ブルペンに入ってシート打撃の準備をしろ」

「…は、ハイッ!」

 ようやく出番を迎えた。 山下とキャッチボールを始めると、心なしか顔が嬉しそうだ。

 稲森は左腕の速い振りからキレの良いボールを放ち、山下のミットを心地よく鳴らしている。


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