投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

15cm
【学園物 恋愛小説】

15cmの最初へ 15cm 9 15cm 11 15cmの最後へ

15cm(後編)-6

3限目――
黒板の内容をノートに書き写すばかりの授業が続いて、眠気が襲って伸びをする。

ホントは目が良いと、カミングアウトした七瀬は、もちろん黒板の内容を聞いてこない。
それに、いつもは無駄に声をかけてくるのに、今日は全然話してないや…。

寂しい…。
…やっぱり私、七瀬が好きなんだなぁ。


ノートの端にところどころ書かれた七瀬の落書きを見ながら、切なくなる。
ため息混じりに、パラパラとノートをめくっていくと、真新しいページに見覚えのない文字を見つけた。
そこには――

『付き合ってくれませんか?』

と彼からのメッセージ。


隣を見ると、偶然なのか七瀬と目があってしまった。
そして、七瀬は私の見ていたページに目線を送る。


私の答えは決まってる。
…だけど今は授業中。
それでも、今すぐ伝えたいんだ。


私は音を立てないように、そっと机を動かした。
一番後ろの席、私は誰にも気付かれないように、空いていた七瀬の左手を右手でキュッと握った。

驚いた七瀬と再び目が合う。
だけど七瀬はすぐに目をそらして、そして――

私の手をぎゅっと握り返した。



―彼との距離。
―15cm。


15cmの最初へ 15cm 9 15cm 11 15cmの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前