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Blackmail
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Black mailU-3

「お怒りはごもっともです。 私のせいで貴方は大変な目に遭われたのですから…」

「それが分かっているのなら……」

琢磨は右手で恭香の言葉を制すると、真剣な眼差しを向けた。

「…もし、これが仕組まれていたとしたら?」

「なんですって!?」

恭香の顔が一変する。 琢磨は追い討ちを掛けるように、

「驚かれるのは無理はありません。 私も初めて知った時は同じでしたから。 だが、私が今から言うことは全て事実です」

そう前置きすると、一言々を確かめるように語った。

「あの不祥事は、飯島の策略です」

「…そ、そんなバカな!」

「いえ。 正確には飯島が考案し、当時、私の同僚だった岡野が実行したんです」

そこまで話すと、琢磨は腕時計を見た。

「どうやら時間のようですね」

 そう言って席を立ち上がり、

「どうです?私はヤツラに復讐しようと思うんですよ。
 もし、貴方がその気なら、今夜9時、ココに来て下さい」

琢磨はテーブルに名刺とメモ紙を置いて恭香の前を去って行った。
残された名刺とメモ紙を手に取り見つめる。 その表情は不安で満ち溢れていた。




───


 夜。 その場所は会社のオフィスから歩いて10分ほどの所、繁華街にあるビルの地下1階だった。
黒塗りのガラスドアーには、白文字で殴り書きのように〈エルドラド〉と書かれている。

「やぁ、先にやってますよ」

 中に入ると琢磨はすでに来ていた。 随分前から待っていたようで、止まり木に腰掛け、手に持つグラスを恭香に向ける表情が、昼間と違ってリラックスしている。

「ずいぶんご機嫌ね」

躊躇しながら恭香はとなりに座った。

「こうして、貴方と再会出来たことが嬉しくて…」

琢磨の目が恭香の身体を舐めるように見つめる。

「それより、昼間の続きを教えてちょうだい」

「つれないなぁ。 とりあえず、何か飲んで下さいよ。 乾杯しましょう」

彼女は飲む気などさらさら無かったが、下手にヘソを曲げられると知りたい情報を出し渋りかねないと思い、仕方なく従うことにした。

「…じゃあ、同じモノを」

琢磨がバーテンダーに目配せをすると、グラスに指2本分注がれたスコッチが出てきた。


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