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水泳のお時間
【その他 官能小説】

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水泳のお時間〜2時間目-1

その日の夜は眠れなくて、わたしは布団にもぐったままずっと今日の出来事を思い出していた。
どうしよう。心臓がさっきからずっとドキドキ言って止まらないよ。
だって今でもちゃんと覚えてる。瀬戸くんから言われた言葉…。

忘れる事なんて出来ない。


“どうして?そんなの決まってんじゃん”


“桐谷が、好きだからだよ”

うそみたい。

瀬戸くんがわたしを好き?
本当に?

夢じゃ、ないよね…?

信じてみても、いいのかな…。



「知鶴〜これからみんなで映画見に行こうって話してんだけど、知鶴も行く?」
「えっ?あっ…えと。ごめん、わたし…今日はちょっと用事が…」
「用事?何かあるの?」
「う、うんごめんねっ、今度は絶対行くからっ」

いつもなら喜んでついていく友達の誘いも、今日は断ってしまった。
こんな事は初めてで…不思議そうに顔をキョトンとさせていたマキちゃんに、わたしは心の中で何度も謝りつつ、足は五階の更衣室を目指して走り出す。

「ハァッ、ハァッ…」

更衣室へと駆け込み、そのまま慌ててドアを閉めると、わたしは上がる息を必死におさえた。
どうしよう。
とりあえず、落ち着かなきゃ…。
逸る心を落ち着かせるため大きく深呼吸したあと、わたしはおそるおそる袋からある物を取り出す。

「……」

そこで広げてみたモノはなんと…ビキニ。
目の前に映った新しい水着を前に、わたしは思わずゴクンと息を呑んだ。

実は昨日瀬戸くんと別れたあと、わたしは駅近くのショッピングモールに立ち寄り、思い切ってビキニを購入してしまったんだ。

ビキニ…と言っても、実際わたしが選んだのはそれほど胸元の開いていないホルターネックに、下はそれほど短くないフリルのついた水着のスカート。
だから通常のビキニより露出は抑えた方なのかもしれない。

だけどビキニなんて恥ずかしく、今まで一度も着たことのなかった私にとって、それはとても大きな進歩であり、変化だった。

きっとこれは一種の背伸びなんだと思う。
わたしの、わたしなりの…精一杯の背伸び。
少しでも女のコらしい水着を着て、瀬戸くんに褒めてもらえたら嬉しいから……。


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