『求めた話』-1
求
何を求めるんだい。そこが一番大事だ。君は何を求めるんだい?
このように腐り果てた楽園で、躰を汚し、他人を侵し、世界を壊し、君は何を求めるんだい。
君には求める権利があるのかい?
そんな想いの上にあぐらをかいて、自分は違うと言えるのかい?
あぁ、すまない。君を責めているわけではないんだ。人《きみ》に説いているんだ。
答えてくれないか?
何故、人は生きているのか。
何故、ここまで来て求めるのか。
何故、失った後に気づくのか。
わからないのかい?
君はここまで来たのに。君はここに至ってしまったというのに。
私は知っているよ。
君は知らないのだろう?
そうだろうね。やはり君は人だった。
そうだろうね。そこまで素晴らしいモノが与えられているというのに、人は気づかないものだ。
静謐な死を生きて、何故気付かぬのだろうか。
いや、君を責めているわけではないのだよ。
話がずれてすまなかった。
では、もう一度聞こうか。
何を求めるんだい。
さぁ、答えておくれ。
泣イテイルダケジャ、何モワカラナイジャナイカ。