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フリースタイル3〜前半〜-1

「俺の名前覚えてる?」

あの日、キスしたあと彼は言った。

「…恭介…さん?」

呼び慣れない名前で戸惑うあたしに彼は笑顔で言った。

「恭介でいいよ」




あたしは普段すごく人に流されやすい。



別にだからといって嫌な事は断るし、やりたくない事はやらない。

でも少しでもまぁいっかと思ったら簡単に乗せられてしまう。

最低かもしれないけど好きでもない人とキスなんて数え切れないぐらいあるし、付き合ってない人とのセックスだってある。


この時のあたしはあなたもその中の一人だと思っていた。



バカだよね。


こんなにあなたの事を好きになるなんて思わなかったの。


「疲れたから」ってホテルの誘いを断った事をこんなにも後悔しているの。


あの時あなたとセックスしていれば今とは違ったかなって考えるの。




でもやっぱり遊ばれて終わってたかなぁ?




ホント、バカだよね。





「kyouzと一言も話してない?」


「…うん」

あたしは自分でも呆れながら頷く。




大学の帰り、沙織に聞いてほしい事があって近くのファミレスに寄った。


聞いてほしい事とは…もちろん、恭介の事。


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