投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

風船。
【悲恋 恋愛小説】

風船。の最初へ 風船。 6 風船。 8 風船。の最後へ

another story.-3

彼女が去って、1週間。
今年も、桜が咲いた。

桜並木を歩く。
自販機で120円のジュースを買い、ベンチに座って、散る桜を見つめた。

その時、ふとやわらかい春風が吹いた。

彼女は散る桜を見つめていた。
もしかしたら、枝の間から青空を見つめていたのかもしれない。

彼女は切なげな顔をしていた。
もしかしたら、枝の間から差す日の光が眩しかったのかもしれない。

そして僕はそんな彼女を見つめていた。
もしかしたら、それは夢だったのかもしれない。

***

4月になって、僕は2年生になった。

朝、時計の針は遅刻しかねない時間をさしていた。

彼女が今何処にいるのか僕は知らない。
彼女が今どんな未来を創っているのか僕は知らない。

けれど、僕はここにいて、今を生きている。

『・・・いつかまた会えるよね?』
そう呟いても、学ランを着た鏡の中の彼は無表情のまま答えてくれない。

『・・・いつかまた会えるよな!』
そう呟いたら、学ランを着た鏡の中の彼が少し微笑んだ気がした。

そして、また1秒ずつ時計は未来へ進む。

・・・さて、これから僕らはどこまで行けるのだろう。


風船。の最初へ 風船。 6 風船。 8 風船。の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前