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『理不尽な話』
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『理不尽な話』-2

「なんと傲慢な子だろう! 自分の立場をわきまえず、私に意見するとは!」

 神様はその場で足踏みします。すると、泉の色がどんどん黒く変わっていきます。

「なんと哀れな子だろう! 一言でも謝れば許してやったのに!」

 泉は真っ黒になって、どろどろとなっています。それは変な臭いがして、具合が悪くなってしまいます。

「一生お前はこの罪を償うがいい! お前がしでかしたことを、一生後悔するがいい!」

 神様は、泉に戻るのではなく、空へと戻っていきました。







 この話は、あっという間に小さい村に広がりました。

 神の子が神の怒りを買った。なんということだ。なんてことをしてくれたんだ。村人たちは口を揃えて嘆きます。

村の畑の野菜は腐り、家畜は次々と死に、村には奇病が流行りました。

 少年は家に引きこもるようになりました。家の窓は、石を投げられ全て割れました。隙間風がびゅうびゅう吹いてきます。

両親は、少年を置いてどこかに行ってしまいました。

少年が助けた友達は、村の人たちと一緒に少年をいじめます。

それでも少年は、この村に居続けました。



小さな村の誰もが少年を忌み嫌いました。

それでも少年は、村人たちを嫌おうとは思いませんでした。

村で、ようやく作物が育ち始めたある日のことです。少年はいつもの通り、夜中にこっそりと出かけ、村の畑に食べ物を盗みに行きました。

少年は泣きながら野菜を一つ盗みました。

悲しくて泣いたのではありません。

あまりにも自分が情けなくて泣いたのです。

しかし、見つかってしまいました。

見つけたのは、少年の友達だった男の子です。

「お前は……」

 男の子が、汚物でも見るかのような目で呟きます。

 男の子が見たのは、汚い服に身を包み、髪はぼさぼさで、顔には黒い汚れがべっとりとついている少年の姿でした。


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