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論理ウルフ
【純文学 その他小説】

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論理ウルフ-2

 食事のさなかこんな談笑があった。
「副リーダー、君は本当に頭がいい。私だけではみんなを納得させることはできなかっただろう」
 少量のキツネを食べながら、リーダーは全員に行き届く大きな声で副リーダーを労った。一同もこれに同意し、賞賛に満ちたまなざしを副リーダーに送った。
「リーダーは狩りと統率力に長けるが計算が苦手だからな」
 古株は軽口を叩き、リーダーを盗み見てにやりと笑った。リーダーはすねた様子で「放っておけ」と言った。
「そう言う古株はがっついていて駄目ね。おじいちゃんがいなかったら、あたしはきっと飢えていたわ」
 メスオオカミは先ほどの異議の件をまだ根に持っていた。四本目のウサギの脚をかじりながら、意地悪な視線を古株に向ける。古株は気づかない振りを決め込んでいかにも面倒臭そうなため息をついた。
「とにかく副リーダーがいないと成り立たないんだ、我々は」
「いやあ」
 副リーダーは柄にもなく照れて笑った。一同が満足するのを、満足げに眺めた。たしかに彼はとても優秀だった。ただし自分に獲物が渡っていないことにはまだ気づいていなかった。


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