投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

赤い靴
【青春 恋愛小説】

赤い靴の最初へ 赤い靴 12 赤い靴 14 赤い靴の最後へ

可愛い後輩-1

最近ウザい奴がいる。

「せーんぱいッ」

ほら、また来た。



「幸先輩ったら。何でシカトするんですかー?


「…あたしに話しかけないで」

「…?」

私は首を傾げている後輩を背にその場を去った。





私の前に現れたこの後輩は、中学の頃同じ部活だった。
名前は宇佐美総太。今年この学校に入学してきた。

総太は人懐っこく、特に私に絡んできていた。彼は屈託のない笑顔で私に話し掛け、だから私も幸せな気持ちになれた。



でも、中学の頃とは違う。

ここにいるのは、あの頃の私じゃない。



「…ゴメンね、総太…」

後ろに立っている総太には聞こえないように小さく呟いた。



私はこの学校で2年間、孤独だった。
友人は1人しかいない。助けてくれるのは彼女と、教師という立場である幼なじみだけ。
それ以外は私には居場所がなかった。

そんな環境にも慣れ、あと1年我慢するだけだというのに、総太は私の前に現れた。



今更現れても困る。

だから私は彼とは関わらない。

その方が彼も幸せになるはず。





「ふーん。中学のときの後輩がねぇ…。いいんじゃない?仲良くしたって」

人の部屋で寝転がっているナオは、アイスを食べながらそう言った。

「そんな訳にはいかないよ。色々複雑なの、あたしだって」

「ほー。まぁ、お前の味方が増えていいと思ったんだけどな。お前がそう言うならしょうがないか」



うん、本当にしょうがないよ。


赤い靴の最初へ 赤い靴 12 赤い靴 14 赤い靴の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前