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『クロノス』
【ファンタジー その他小説】

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『クロノス』-プロローグ--2

『母さんっ!!』


叫ぼうとするが声にならない。宗は己の無力を呪い、死を覚悟した…




その時だった。



ドクンと心臓が跳ねる。


懐かしいものを思い出すかのような不思議な感覚が宗の体を包んだ。

体の中の何かが自分にそれをしろとに命じた気がしたのである。

かつてない程の集中力が宗の五感を研ぎ澄ます。




宗は『世界』に命令した




止まれ、と。





その瞬間、世界は音を無くし、停止した。



時間が、止まった。



普通なら腰を抜かすような現象が目の前で起きているというのに、宗の頭はどこか冷静であった。
停止し、マネキンのよう動かない母の胴を抱え、鉄骨の落下地点と思われる場所から10メートルほど走った。

これで母が死ぬことはない。そう安堵に息をついた時…





世界は動き出した


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